花に囀ずる。【刀剣乱舞】 (ページ24)

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22#影の加護ページ24

(Side,薬研藤四郎)

俺たちよりも一歩先に出ていた見習いが術式を唱える。

『我が身は我にあらじ、神の御盾を翳すものなり』

霊力の障壁が出来上がり、遠戦攻撃を防いでいく。感心していると、右翼側から別動隊らしき影がちらついた。

見習いはそれに気付くと側面にも障壁を回し、防御を固めた。

____しかし。

『くに、ひ____』

「見習い殿!! 伏せて下さいっ____!!」

『えっ____』

一瞬何が起こったのか分からなかった。
大太刀の振りかぶった本体が障壁をごと見習いを吹き飛ばし、彼女は地面に打ち付けられた。

「神無月さん!!」

その指先はピクリと動くも、目は虚ろで……。
それよりも、血が止まらなかった。

「くそっ……!!」

「どうしてこんなに遡行軍が……」

「こんなこと今まで無かったよね!?」

「薬研殿! 此方は我々で食い止めます!」

「頼む」

微かに漂う見習いの霊気。
それと、謎の“気”。何かの加護を纏っているのが分かった。

「乱、見習いのこと抱えられるか?」

「うん、平気」

「いち兄! 大将に連絡は!」

「今取っている! けど、繋がらないんだ!!」

通信障害。
明らかにおかしい。

『この術は、凶悪を断却し____』

「おい馬鹿! 喋るな!! 傷が広がるぞ!」

『これ……退けなければ、皆……死ぬ』

「!?」

『この術は……凶悪を断却し、災厄を、打ち払う。急々如律令……っ』

見習いの手から放たれた札は黒く、赤い文字が刻まれていた。
飛んだ霊符と共に黒い影が飛び出したのは、きっと気のせいじゃない。

「薬研、乱。敵が退いている! 今なら戻れそうだよ」

「あ、通信元に戻りました」

――「何事です」

「大量の遡行軍に襲撃を受け、見習い殿が重傷です」

――「すぐに帰還を。政府の方に連絡をしておきます」

傷はそこまで深くはないが、大きい。
傷が残ってしまうだろうか。

「神無月さん。政府の病院に多分運ばれるから大丈夫だからね! もう少し頑張って!! 僕もついてるから!」

『み、だれ……さま』

そういえば、彼女が持っていた“堀川国広”は何処だ。吹き飛ばされた後ぐらいから見ていない。

「乱、私が代わるよ」

「あ、うん」

「見習い殿、お気を確かに」

『は、い……』

何かある。

(歌仙、乱、私と共に政府へ)
(分かったよ)
(はーい)