20#藤の指先 ページ22
(Side,審神者・藤)
――審神者・藤の手記より
見習い・神無月がこの本丸に来てから一週間。
来たばかりの頃はどうなることかと思いきや、彼女は思いの外、本丸に溶け込んでいるように思える。
世話係(監視)に付けた織田組も大抵のことには首を振って、“何事もなかった”と報告することが多い。
また、彼女と仲が良いのは乱だ。
歌仙と和泉守は、彼女の朝のお務めを見ることが日課になっている。
審神者見習いとしては、優秀だと私は思っている。飲み込みは早いし、覚えも良い。所々で意見を取ると、其処から来るかと言わんばかりの返答が、返ってきたりするのでよく驚かされている。
陣形も定型の6つではなく、
霊力は、不馴れな場所にいるからかなのか、少しばかり不安定ではあるが、刀剣たち曰く気にするほどではないとこのこと。それなら、いいけれど。
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「今日は第二部隊に同行してもらいます」
『はい。皆様の足を引っ張らないよう気を付けますね』
「部隊長は一期に任せたわ。薬研、乱、鯰尾、骨喰、鳴狐で出陣を」
「ふふっ、今日も一緒だねー」
『そうですね』
相変わらず、乱と神無月さんは仲が良い。
彼女は近くにいる神に影響を受けやすいのか、乱の神気が軽く移っている。
「乱、神無月殿の側を離れないように」
「分かってるよ、いち兄」
「神無月さん。刀は装備していますね?」
「はい。問題ありませんよ」
彼女が携えているのは政府支給の刀。
【堀川国広】であった。彼女は退魔術を纏わせているのか、霊気が刀を覆っていた。
「では、出陣します」
「御武運を」
第二部隊を見送ると、神無月さんが立っていた場所に術式発動の痕跡が残っていた。
「これは……」
「退魔術だね。主、彼女……相当の遣り手だよ」
「変わり者、だしね」
「それもそうだけれど、それだけじゃない」
「どういうこと、石切丸」
「彼女にはあまりにも複雑な縁が纏わり憑いている。しかも……何だかこの絡まり方はおかしい」
(まがものよ、禍者よ____)
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作者名：化野燎 | 作成日時：2017年11月5日 0時
