14#罪悪感の中の望み ページ16
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嘘で本当。
虚実。
最前線の“本丸”、っていうのは嘘。“貴方達を相手する最前線”、っていうのが本当。
「悪い人」
『どの口が言ってるの……。国広の方が悪い子でしょ』
「確かにそうだね。でもお前はもっと悪い子だよ」
国広は私が作り上げた結界の中で嘲笑う。
ひんやりとした手が私の顎を掬い上げ、頬を滑る。
『……我の御霊を解き、我が声を聞き届け給え____』
「!? 何してるの!!」
国広が私の口を慌てて手で塞ぐ。
それもそうだろう。“自壊の呪法”____。
「とうとう頭までおかしくなったの!?」
『……息が詰まっておかしくなりそう』
「ほんと根性無しだよね。潜入任務とか向いて無さすぎ」
『……』
「……枸杞?」
私という存在が正される歴史は、まだ少し先のことらしい。
ただノイズが観測されただけ。私の存在が、
「このまま、教官の言う通りなら真に転がる訳で、僕の存在諸共お前は消えるわけだけど」
『その時はその時。潔く消えてやる』
「……もし、実に転がったら?」
『国広と一緒に自分の本丸を持ちたいかな』
「え……?」
『私ならきっと国広を国広のまま浄化することが出来るから』
こんなことしていちゃいけない。
そういう罪悪感は無くはない。
だから、もし自分が確実な存在になれるのなら、
私は真っ当に生きてみたい。
『それは、国広がいないのなら意味がない』
「ふーん……そうなんだ」
『反対しないんだね』
「まあね。僕は刀。武器だから、戦うのが使命でしょ。……枸杞の手の中で戦えるのなら何でもいいよ」
『今夜、何か素直』
「うるさいなあ……。またその口塞ぐ?」
『本当に塞ぐ気なら、国広は私に確認取らないよ』
「……」
好き。
私の御刀様。
愛しい人。
「クソ生意気」
国広はそう言うと、いつものように私に口付けをした。
渦巻く憎悪や、嫌悪。
瘴気。
全て。
「ん………っ。あーぁ、溶けすぎ」
『国広が、やったんでしょ』
「どっかの誰かさんが物凄く欲しがりだから」
腹黒国広。
「何か言った?」
(な、何でもない)
(失礼なこと考えたよね?)
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作者名：化野燎 | 作成日時：2017年11月5日 0時
