09#国広の懸念 ページ11
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審神者としての研修は内番からだった。
内番の仕事を通して、刀剣と仲を深めるのも良いことだと審神者は言った。
手始めに、畑当番を頼まれた。
「今日は夏野菜を植えてくれと燭台切の旦那から預かったんだ」
『
「事前に用意しておきましたよ。見習い殿……いえ、神無月殿は勤勉そうですから、こういう事は事前に学ばれていたのですか?」
『えぇ、まあ。馬の世話は分かりませんけれど、畑や洗濯、厨は一通り』
「お、そりゃ頼もしいや」
薬研藤四郎と一期一振。
御物刀や平安刀は勘が鋭い、と教官が言っていたから少し警戒しておくべきだろう。
そう少し考え事をしていると、一期一振に帯の事を言われた。
「その帯、可愛らしいですね。よくお似合いです」
『花結びです。本当はしっかりとした帯でやった方が綺麗なんですけどね』
「乱が好きそうだ」
『私で宜しければ着物の着付けしますよ』
「耳に通しておきます。さ、昼までに済ませてしまいましょう」
広大な土地にいくつも広がる様々な畑。
季節と言うものは関係ないらしい。
苗を植え、支えを組み立て、添え木を立てた。そして、他の畑で収穫出来そうなものを収穫し、厨へと届けることになった。
『まさか苺が採れるとは思っていませんでした……』
「最近晴れが続いたからな。量もいつもより多い」
「いつもはそのままか、厨当番の方々が苺大福を作ってくださるんですよ」
これだけ大きくて甘そうなら、ジャムにするのが良さそうな気がする。
警戒されているから厨には入れてくれないだろうか。
『……苺ジャムが作れそう。あの、一緒にやりませんか?』
「いちごじゃむ? そりゃあ何だ」
『えっと、パンに塗ったりします。色々なものに合いますよ』
「土を落としたら主殿のところへ行きましょうか」
『はい』
二人が先に流してきていいと言ったので、先に泥を落とし、着替えて沿岸に座っていた。
――絆され過ぎ。
――――……うるさい。
――は? 何その言いぐさ。
――――ねえ、私がいなくなるのってまだ先だって教官言ってたよね。
――まあ、そうだね。で? それが何。関係あるの?
――――特には。でも少し、考えてるから。
――知ってるよ。
国広には、彼らの清浄が毒になる。
(きれい……)
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作者名：化野燎 | 作成日時：2017年11月5日 0時
