検索窓
今日:9 hit、昨日:8 hit、合計:34,930 hit

// ページ2

.

何かは唸り声を上げ、猛突進て迫って来る。
こちとら、屋敷の構造も理解しているし、体力と忍耐には自信があった。だが奴は手のような物を伸ばし、今にも殺さんばかりの勢いだ。チラリと後ろを振り返った刹那、脚を挫きその場に附す。それでも相手が盛大に暴れてくれたお陰で、食堂のテーブルやら椅子やらがひっくり返り死角となる場所が出来た。咄嗟に倒された長机の陰に隠れる。
そして現在に至った。自分は既に死んでいる身だが、それでも感じるこの直感(恐怖)はなんだ。もし奴がこの屋敷から出て、荘園の外に出たら…考えたくも無い。
なら、方法はこれしかない。

「(“荘園ごと”、奴を燃やしてしまおう…。)」

別に扉から出なくたって逝くべき場所に行けるし、既に()は無いから焼けて苦しむわけでもない。ハンターとしての最期の仕事だと思えば、楽なもんだと思える。
あの二人には悪いけれど、ここは試合場所じゃないし能力も使えない。気付かれないように【狂眼(バルク)】と【「囚人」(ルカ)】の部屋を周り、機械油と帯電機を抱える。
念の為、荘園が焼け残った時のために、この摩訶不思議な出来事は誰かに届くようちょっと書き残しておこう。今まで生者と死者に挟まれていたというのに、今までの出来事(ゲーム)も不思議だったんだっけな。書きかけの紙を懐に仕舞い、立ち上がる。

「こっちだ!!」

奴を挑発しつつ油をぶちまけ回って、床も壁も足も油まみれになる。挫いた傷が痛み体勢を崩すと同時に、奴は腕を伸ばしおれの右脚を“奪った”。

「っうぐ…。なーんて…。」

こっちに夢中で気付かなかったか、この(出入口)はちょっと狭く出来ている。つまり、

將軍(チェックメイト)

ルカの帯電機の電源を入れ、高熱の電気が走り油に引火。元々原型が分からない何かは、自分の中に取り込まれた油に気付いてなかった。案の定奴は体に着いた火に怯え、この世のものとは思えない悲鳴を上げる。

「ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ァ!!!!アヅイ!!グルジイ!!グルジイ!!ダズゲデ!!」

奴が余計に暴れているお陰で、次々と油に着火し木材の家具はごうごうと燃えていく。まるであの時のようだな、大昔に二人を追って首を絞め飛び込んだ感覚。
建物と共に燃え盛る奴を横目に、懐から紙を取り出し最後の言葉を書く。扉の外から声と叩く音が聞こえ、遠のく中で限界を迎え意識を手放した。


再見(さよなら)。」

//→←_序章_



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (46 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
90人がお気に入り
設定タグ:第五人格 , ツイステ , 男主
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

リゼ - Graecia devil sa-thinさん» もう最新しないんですか? (2023年2月22日 9時) (レス) id: 747029a77b (このIDを非表示/違反報告)
Graecia devil sa-thin(プロフ) - なお、アカウントが繋がっていないため、投稿していたものの続編を作るかは未定です。 (2021年8月21日 20時) (レス) id: c6a4917727 (このIDを非表示/違反報告)
Graecia devil sa-thin(プロフ) - 報告です。Googleから投稿していたのですがログインができなくなりましたので、アプリから再活動いたします。新着を楽しみにしていた読者様、大変申し訳ございませんでした (2021年8月21日 20時) (レス) id: c6a4917727 (このIDを非表示/違反報告)
Y説行為 - 面白すぎるチ───(´-ω-`)───ン続きが気になりすぎる……………、、好きです() (2021年7月30日 22時) (レス) id: fd59df5674 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 更新楽しみに待ってます!!頑張ってください! (2021年6月20日 12時) (レス) id: c46a3c3dbd (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:Graecia devil sa-thin | 作成日時:2020年6月7日 17時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。