2-38 -sakamoto’s turn- ページ41
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時間は少ーしだけさかのぼって…
2人で食卓を囲み、今日この後の予定をAと話す。
彼女と過ごせる時間は限られてるんや。
少しでも長くAのそばに居たいから
段取り良く行動せんと後悔することになる!
…渡したい物もあるし。
『なあなあ、どこ行きたい?なんかやりたいことある?』
Aが入れてくれたお茶を飲みながら、
ワクワクする気持ちを抑えつつ彼女に聞いてみた。
すると、少し考えた彼女は
ふと何かを思いついたように目を輝かせる。
『ん?なんか思いついた?』
『えと、行ってみたいところがあって…』
そんなAが行きたいと言った場所は
野球殿堂博物館。
野球が好きなら一度は足を運ぶ場所。
過去から現代までの野球に関する資料などが展示されており
グローブ、バット、ユニフォーム
もちろん俺の使用していた物も展示されてる。
いずれ、オリンピック関連の物も展示されるやろなぁ。
スマホでマップを確認しながら歩くA。
なんか危なっかしいなぁ。
見兼ねた俺は
「なぁ、歩きスマホはあかんねんで。
道くらい俺が知ってるから
スマホはポケットにしまい。」
と、ひと言。
たまには真面目なことも言うとかなあかん。
てゆーかスマホばっかり見て。
俺を見ろ、俺を。
「あ、ごめんなさい。」
ちょっと嫌な気持ちにさせてもたかな?
Aはスマホをポケットにしまうと
視線が俺へと移り、少しバツが悪そうに笑った。
その笑顔がとても可愛く見えて
俺は彼女の手をぎゅっと繋ぐ。
寒さが増すほどに空気が澄んでいく冬。
他の季節より景色から色が消えてしまうけれど
その澄み渡る空の色や景色には
この季節にしか感じることの出来ない暖かさが
ひっそりと隠れている。
繋いだ彼女の手の温もりが心地よく
俺はそっと、彼女に寄り添った。
この時間が永遠に続くことを
心から願うばかりだ…。
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作者名:おか(´・ω・`) | 作成日時:2021年9月1日 1時