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「A、ずっと逢いたかってんで。」
いつになく積極的で
その上、猫みたいに擦り寄ってくる坂本さん。
私どうしたらいいのか、戸惑ってます。
「Aは？俺に逢いたかった？」
「えぇえ！言わんとダメですか！？」
「うん、ダメです。」
『めっちゃ逢いたかったです！』
…って、サラッと言えたらどんなに良いか。
恥ずかしい気持ちが勝ってしまって
「あー」とか「んー」ってごまかして
上手く言えずにモゴモゴしてしまう。
「あーもう、お前はやっぱり素直やないな！」
「どっ！どこが素直やないんですか！」
ぱっと後ろを振り返ったその時、目の前に坂本さんの笑顔があった。
そっと彼の唇が私の頬に触れる。
「素直に俺のこと好きって言え。
そうでないと、いくとこまで行ってまうで。」
「なっ…」
「ん？なんか言うた？聞こえんなぁ。」
あかん…坂本さんが悪ーい顔になってる。
心の内を言葉にして伝えることが苦手な私は
自分が思っている以上に表情に出てしまっていたみたいで
彼の笑顔は、そんな私の気持ちを全て見透かしているようだった。
「好き…です…私も逢いたかったです…」
勇気を出して正直な気持ちを言葉にしてみる。
全身が熱い。今の私を漫画とかで表現したら
きっと耳とか頭とか、体のありとあらゆる箇所から
湯気がホコホコと立ち昇ってるんじゃないだろうか。
坂本さんをチラリと見ると、その顔は
フニャフニャととろけてしまっているような
今まで見たことがないくらい
なんだかだらしない顔になっていた。
「ん〜！よく言えました！」
ゴリゴリと頬擦りし、頭をぐしゃぐしゃと撫で回される。
なかなか痛い表現方法の坂本さん。
子供扱いされてるかなって思ってしまうけど…。
「俺もAが大好きやで。」
彼のそんなひと言がちょっと嬉しかったりする。
いや、ちょっとじゃなくてめちゃめちゃ嬉しいかも。
電話で会話する『坂本勇人』は面白くて優しくて
どこかカッコつけてた。
あんまり『好き』って言われることもなかった。
今、私を包んでくれる『坂本勇人』は
変わらず面白くて優しい。
でもこんなにストレートに表現する人やったんかと
そのギャップに戸惑ってしまう。
てゆーか、初日からこの調子やと
3日後の帰る日にはどーなってることやら。
無事に帰れるといいねんけど…。
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作者名：おか(´･ω･`) | 作成日時：2021年9月1日 1時
