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デリバリーの定番、ピザを宅配してもらい
3枚を3人でペロリと平らげた。
クリスマスということもあってか
配達員もサンタの衣装に身を包み
「メリークリスマス」と、配達時にひと言。
街中の全てがクリスマス一色だ。
「あー美味かった。A、お茶入れて。」
「あ、はい。」
ワインやシャンパン、ではなく
季節感をあえて無視する坂本はAに食後の一杯を頼む。
勇斗が『せっかくあるのだから』と
戸棚の奥から引っ張り出してきた急須に湯呑み。
Aは買ってきた緑茶をパタパタと急須に淹れる。
3人分の湯呑みに湯を注ぎ冷ましている時間に
はた、と気づいた。
「わたし、一応お客さんやんな…。」
客人扱いを受けていないことに疑問を抱きつつ
お茶を用意する。
湯呑みの湯を急須に注ぎしばし待つこと約1分。
茶葉がゆっくりと開き、急須をくるくると回すと
子供の頃によく嗅いだあの香りが辺りにふわりと漂う。
「お、なんかええ匂いがする。」
テレビを見ていた坂本がお茶の匂いに釣られて
キッチンにやってきた。
「それは正しい淹れ方？」
「おばあちゃんに教えてもらったんです。」
並べた３つの湯呑みの端から順に注ぎ
濃さが均一になるように今度は逆の順で注いでいく。
「で、最後の一滴まで淹れ終わったら
急須の蓋は外しておきます。
こうしておくと、茶葉が蒸れすぎずに
次のお茶も美味しく飲めます。」
「へぇ〜。Aは物知りやなぁ。」
「……さ、坂本さん？！」
「なに？どしたん？」
どしたん？と言う坂本は、Aを後ろから抱え込むようにしてハグをしている。
「お茶の匂いってええなぁ。」
「いや！そうでなくて！」
熱いお茶を入れている最中だったために無抵抗だったA。
あまりにも自然に後ろから腰元に手を回され
驚きと緊張で身体が固まってしまった。
「あ〜、朝早かったから昼寝でもしてくるわ〜。」
「おお！ゆっくり休め！」
2人の様子をニヤニヤと観察していた勇斗が
わざとらしく部屋を後にする。
「ええぇえ！」
「なんや、俺と居るのイヤか？」
コツン、とAの頭に顎を乗せ
ぎゅうと少し力を込めて抱きしめる。
「……イヤじゃないけど…
坂本さんが火傷したら大変やし…」
「ほな、それあっちに置いといて。」
湯呑みと急須を手の届きにくいキッチンの奥へやると
坂本がAを抱く力がまた強くなった。
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作者名：おか(´･ω･`) | 作成日時：2021年9月1日 1時
