2-26 -sakamoto’s turn- ページ29
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今日は珍しくスッキリと起きる事ができた。
待ちに待った、Aが東京に来る日。
早朝から全部の部屋を徹底的に掃除した。
リビング、廊下、玄関、トイレ
…言うて、ほとんど弟の勇斗がしてくれて
俺はチョロっと掃除機かけたぐらいやけど。
「アニキが掃除なんか
明日地面から雨が降るで。」
「言うとけ。俺かてやるときゃやるねんぞ。」
ハハハ、とキッチン周りを磨きながら笑う弟。
Aのことは勇斗にちゃんと話してある。
もちろん彼女の写真も見せた。
それだけ俺が本気やと言う事の証明や。
ただ、Aがウチに出入りするとなると
かなり用心はせなアカン。
週刊誌の件も未だに掘り起こされることがある。
Aの為にも火種が大きくなるのは避けたい。
『だから、できるだけ外出を控えたい』
そう勇斗に伝えると、アイツはいそいそと
食器類を棚の奥から引っ張り出してきた。
「せっかくエエ道具が揃ってるんやから
使わんのは勿体ないで。
必要な物は言うてくれたら俺が買いに行くし。」
なんて出来た弟や！
勇斗をマネージャーにして正解やった。
シンクに食器をずらっと並べ
勇斗が黙々と洗い、俺が１つずつ拭き上げていく。
ふと、洗剤の泡が舞い上がりシャボン玉になった。
１つ、また１つと、ふわふわ舞い上がるシャボン玉。
俺の前を横切る時…シャボン玉はパッと消えてなくなった。
それを見ていた勇斗が一瞬、洗っている手を止める。
「今回はわりと本気みたいやな？
昔はこのシャボン玉みたいにすぐ弾けてたけど。」
「…若さゆえ、っちゅーヤツや。」
当時の俺は、隠すことをしなかった。
『言いたいヤツには言わせとけ』
自己中心的で、周りに配慮のない
浅はかでクズな男。
それが俺、それで良いと思ってた。
Aは…彼女とのことは本気で考えてる。
大事にしたいからこそ
中途半端なことはしたくないし、出来ん。
「…今度こそちゃんとしたいんや。」
「うん、わかってるて。
俺に出来ることあったら喜んで協力するし。」
嬉しそうに肘で突いてくる勇斗。
時計は迎えに行く時間を指している。
片付けもそこそこに
勇斗と2人揃って出かける。
A、待っといてな。すぐに迎えに行くよ。
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作者名：おか(´･ω･`) | 作成日時：2021年9月1日 1時
