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ある日の日曜日の午後。

駅前の小さな喫茶店で親友のまりとお茶をしながら

お互いの近況報告会を開催していた。

12月になり、年末に向けて

慌ただしい日常が過ぎてゆく。

まりは毎年、年末年始には帰郷するため

忙しくなる前に会っておこうということになった。



「結局お付き合いすることになったん?」

「それが…。」





坂本の拠点は東京。

9月のあの日以来、彼と顔を合わせることもなく

Aは学校、坂本は試合や練習と

あっという間に時間が経ってしまった。

もちろん、毎日ではないけれど

彼とのやりとりは続いている。

ただ、そんな仲でも明確に

『お付き合いしましょう』

と言う言葉をお互いに交わしたわけではない。

ましてやそれを証明する物も何もない。



「え、じゃあ何?あの日ひと晩中一緒に居て
 僕は君が好きです、私も好きですって確認しただけ?
 それから何もなし?」

「まぁ…会ってもないし、電話くらい?」

「あんたらなぁ…。」



ガックリと肩を落とす親友。

思いがけないカタチではあったが

お互いの気持ちがはっきりわかったので

Aはそれだけで満足していたが

親友にそうツッコまれて、なんだか不安になった。



「じゃ、じゃあこれどうしよう…
 こんなのもらってんけど……」



Aはカバンから1通の封筒を取り出し

まりに見せた。



「何それ?大丈夫なヤツ?」



怪訝そうにその手紙をAから受け取る。

真っ白な封筒の表には、男性らしい文字で

Aの名前と住所が書かれていた。

くるりと裏返してその差出人を見たまりは

大きな声に出して驚く。



「坂本勇人やんか!!!」

「静かに!声が大きい!」



開けていいかと尋ねる親友は

先ほどの表情とは打って変わってワクワクと嬉しそうだ。



封筒からスルッと出てきたのは

雑に折り畳まれた1通の手紙と

その間に挟まれた1枚の航空券。



『遊びにおいで
  坂本勇人』



手紙にはそれだけが書かれていた。



「行くしかないでしょ〜。」

「でも、お付き合いしましょうって言ってないのに
 こんなん…。」

「ほんっま、あんたは素直やないな!
 そんなに不安なら、行って直接本人に聞いておいで!」



そんな怒らなくても…と、泣きそうになるAとは対称に

まりは嬉しそうに笑っていた。



「めいっぱいオシャレして行きよ?
 東京、楽しんでおいで♪」







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作者名:おか(´・ω・`) | 作成日時:2021年9月1日 1時

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