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カーテンの隙間から差し込む光でAは目覚めた。
うっすらと眼を開けると
誰かが隣で眠っていることに気づく。
誰だろう…そう思いながら
ぼんやりとその顔に指で触れる。
髪、眉、鼻、頬、唇…一つずつ、順番に触れるごとに
思考がはっきりしてきた。
坂本さんや…うん、さかも…
「満足しましたか。」
「!!!!!」
Aは一気に眼が覚めた。
「坂本さん!!」
「そんなにぺたぺた触られたら起きてまうわ。」
坂本はニヤニヤとAを見つめ
慌てて飛び起きようとした彼女を強く抱きしめて
自分の腕の中へ閉じ込めた。
「俺のこと好きやって言うたやろ。」
「…っ言いましたけど!」
「けど何?」
坂本の胸にくっつくように抱かれたまま
Aは恥ずかしさのあまり顔を上げられないでいる。
ベッドで沈黙する2人。
ふと耳を澄ますと、坂本の心臓の音が聞こえてきた。
それは少し早いリズムを刻んでいる。
「…坂本さん、心臓、早い…。」
Aが少しだけ顔を上げると、坂本とバッチリ目が合った。
「!」
「…あのねAちゃん。
僕だってドキドキすることもあるのよ?」
そう言った坂本の表情は意地悪く
でも少し照れているようで、頬が赤く見える。
Aはそんな坂本がなんだか可愛らしく思えた。
笑みが溢れ、自分から彼の胸に顔を埋める。
坂本に髪を撫でられ、気持ちがとても穏やかになる。
Aはドキドキしながら
ゆっくりと坂本の背に腕を回した。
一瞬、坂本の体がピクリと跳ね
Aを抱く腕に少し力が入る。
「A…」
「……」
自然と見つめ合った2人の距離が少しずつ近くなる。
Aが瞳を閉じると
坂本はAの額に軽くキスをした。
「?!」
「今日はこれでガマン。
俺がオオカミになってしもたら
みんなの大事な赤ずきんちゃんを
食べてしまいたくなるからな。」
そう言った坂本はニッコリ笑って
今度はAの頬に優しいキスをした。
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作者名:おか(´・ω・`) | 作成日時:2021年9月1日 1時