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坂本が言ってくれた「大好きだ」という言葉。

Aはにわかには信じられなかった。

まさか自分と坂本が同じ気持ちでいたなんて。

心臓が弾け飛びそうなくらい激しく脈打つ。



「坂本さん。」

「ん?」

「誰かと間違ってないですか?」



それを聞いた坂本はぶはっと吹き出す。



「誰と間違うねん!そーいうとこやで!
 ほんまにもう…何回も言わすなや。」



坂本はAの両肩を掴み、ぐっと強引に自分の方を向かせる。



「他の誰でもない、お前が好きなんや。
 これからも、この先何十年も
 Aと一緒に居りたいんや。」



真っ直ぐにAを見つめる坂本。

目の前にいる彼女が愛おしい、そんな気持ちで見つめていた。

だが、そんな坂本を避けるようにAは顔を背ける。



「A?」

「ダメですよ、そんなの…私なんかじゃ」



肩に掴まれた坂本の手をそっと外した。



「なんでや?俺では役不足なんか?」



離れてしまったAの手を坂本は手繰り寄せる。

Aは首を左右に振り、ぽとぽとと涙をこぼした。



「…こんな私じゃ坂本さんに相応しくない…
 私の父親は…人殺し…。」



父親は、自分の手で妻を殺した犯罪者。



「…親友も、亀井さんも、球児さんも、梅野さんも…
 とっても優しくて暖かくて、昔のことを知っても
 変わらず優しく接してくれるんです…。」

「当然や。みんなAのことが好きやから。」



それでもAは首を横に振った。



「犯罪者の娘の私は人を好きになっちゃいけないんです。
 みんなを傷つけてしまうから…。
 それなのに私、坂本さんだけに特別な感情を持ってしまった…。」

「特別な感情?」



好きという想い。愛しいという気持ち。

そばに居るだけで幸せに思う心。

その感情を表に出さないよう、そっと胸の奥に隠してきた。



「私…坂本さんが…」



そこまで話してAは泣き崩れてしまった。

言葉が胸の奥で詰まってしまい、後に続かない。

Aの泣く姿に坂本は思わず彼女を抱きしめた。

小さな体で全てを背負おうとするAに

心が締め付けられる。



「A、俺がお前を守る。
 お前の辛さを、悲しみを、
 その涙を俺が笑顔に変えたる。
 俺がそばにいる…俺を頼ってくれ。」



自分の胸で泣くAの髪を撫で

何度も『好きだ』と繰り返した。

坂本のその言葉に、Aは何度も

『好き』と繰り返し応えた。









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作者名:おか(´・ω・`) | 作成日時:2021年9月1日 1時

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