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ベッドサイドにあったペットボトルの水は

もう温くなっていた。

Aがひと口飲むとその水は喉を通り、

胸の奥をゆっくりと流れる。

ふぅと息をつくと、少しだけ目が覚めた感じがした。





「亀井さんに聞きました…?」


「…うん、少し…。」


「自分で話すって、言ったのに。もう。」





そう言いつつもAの顔はほころんでいる。





「…両親のことと、わたしの病気のこと…

 聞いて、ガッカリしたでしょ?」


「ガッカリなんか思わへんかったよ。」


「ウソや。」


「ホンマや。」





2人の間にしばらく沈黙が流れる。

重い空気を取り払うかのように、

坂本は優しくAの手を握り直した。





「ええかA。

 今から俺の知ってるお前のこと話すぞ。」


「なんですかそれ…。」

 



「まずはー…すぐメソメソ泣くやろ?

 かと思ったらニコニコ笑ってる。

 感情の起伏が激しいのがよぉわかった。



 でもそれを、なんとかコントロールしようと

 一生懸命に努力してるのもわかった。



 人の痛みがわかる人やいうのもわかった。

 自分のことそっちのけで、

 人のために働こうとする気持ちもわかった。」



「………。」



「何をするにも真面目に取り組んで

 でも時々抜けてるとこもあって…。」



「…それは、余計です。」





坂本は、あははっと笑顔を見せる。





「オリンピックの時も、俺の調子が上がらん時も…

 Aの言葉で俺は何度も助けられた。

 Aのことを想うとあったかい気持ちになれる。

 そんなAの全部をひっくるめて…



 いや、……そんなAやから

 俺はきっと好きになったんやと思う。」





坂本の『好き』という言葉に、

Aは思わず顔を上げる。

坂本はにっこりと優しく微笑んでいた。





「A、俺はお前が大好きやで。」





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作者名:おか(´・ω・`) | 作成日時:2021年9月1日 1時

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