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またお母さんが泣いてる
助けてあげたいのに
Aが子供だから知恵も力もない
手を伸ばしても、やめてって声をあげたくても
お母さんには届かない
ごめんなさい
助けてあげられなくて
ごめんなさい…
泣崩れたその時、右手に暖かさが伝わってきた
顔を上げると目の前に誰かが居る
その人はそっとAの手を握ってくれていた
ふいにその手が離れると
頬を伝う涙をぬぐい、優しく頭を撫でる
…この感じ…ずっと前にどこかで…
その手の暖かさに導かれるように
Aは夢から覚めた。
まだ薬の効き目が残っているのだろうか。
ぼんやりとする頭で周りをゆっくり見渡す。
「あ、起こしてもたか。ごめん。」
そこにはAの手を取り微笑む坂本がいた。
「…前に…」
「ん？どした？」
寝起きで上手く話せないのか、
Aは辿々しく話出す。
「球児さん家でたおれたとき…
誰かがわたしのそばに居てくれて…」
思い出してふふっと笑い、彼女は話し続ける。
「おでこに手をのせてくれてね。
それがつめたくて気持ち良かった…」
「…ん、そーか。」
「あれって…さかもとさんやったんやね…」
「！…なんや、知ってたんか。」
Aは照れ臭そうに笑う坂本の手と
自分の手を重ね、あの時と同じようにキュッと強く繋いだ。
勢いで繋がれたこともあった2人の手が
今はそれぞれの意志でお互いを繋いでいる。
Aの女性らしい手を
坂本の大きな手が優しく包みこむ。
「…あのときも、こうやって、
さかもとさんの手を握ったら…すごく、安心した…」
「うん…。」
少しずつ覚醒してきたA。
坂本に手伝ってもらい、体をゆっくりと起こす。
時刻は午前2時を過ぎていた。
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作者名：おか(´･ω･`) | 作成日時：2021年9月1日 1時
