2-14 -sakamoto's turn- ページ15
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「…で？」
「いや、だから。」
ホテルの俺の部屋。
俺の向かい側に元木さんが座り、気難しい顔をしている。
亀さんはその後ろで仁王立ちになり、
Aは俺らの話をそばで聴いていた。
「元木さんと亀さんが思ってるようなこと
してませんて。」
「俺の可愛いAちゃんが…。」
亀井のおっさんがシクシクと泣き出す。
俺の話聞いとんのか！
「あのな、した・してないの話やないねん。
お前もええ歳やし、わかるやろ？」
元木さんが説教モードに入った。
Aがいる手前、きつい口調ではないけれど
目の奥が鈍く光っている。
このモードの元木さんはマジで怖いからな。
「はい…すみません…。」
「Aちゃんやったかな？
君もホイホイとついてきたらあかんで？
こんな時間やし、親御さんが心配するやろに。」
元木さんがAに向かって声をかけると、
Aはビクッと体を硬らせる。
「元木さん。この子、成人してますよ。」
「え？！」
亀さんの一言に、大きなリアクションで驚く元木さん。
「マジで？！俺てっきり勇人が犯罪犯したかと…。」
「俺をなんやと思ってるんすか！」
まぁたしかに、言われて見れば幼い気もする。
普段から化粧っ気のない子やし。
俺も亀さんもそんな気にもしてなかったけど
元木さんにしたら親子ほど年齢差あるしなぁ。
それにしたってAのビクつき方。
ちょっとおかしくないか？少し顔色が悪いようにも見える。
彼女のそばに近づくと、額から汗が多量に流れているのがわかった。
「A、どうした？」
覗き込むと顔色が真っ青になって小刻みに震えている。
「しもた、フラッシュバックか。」
慌てて亀さんがAのバッグからピルケースを取り出した。
「勇人、水もってこい。」
亀さんに言われ、とりあえず目の前で
顔面蒼白になっているAをベッドへ寝かせる。
「Aちゃん、安定剤や。飲めるか。」
震えているが意識はあるようだ。
亀さんの優しい呼びかけにAは小さく頷く。
俺は持ってきたペットボトルを渡すと、
亀さんは彼女の体をゆっくり起こし
渡した薬を飲むように促した。
「しばらくしたら薬が効いてくるやろ。
少し寝たらええわ。
気づかんでごめんな…。」
亀さんはAの髪を優しく撫でながら、
ゆっくりとベッドに寝かせた。
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作者名：おか(´･ω･`) | 作成日時：2021年9月1日 1時
