8話目のお話 ページ8
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ビールを4、5本抱え、庭に出ると
目の前に坂本勇人が立っていた
「あ、こんばんは」
「よう、今日の主役」
Aは手に持ったビールを差し出したが
坂本はそれを受け取らずにAの懐にある一本をひょいと取った
(いや、全部おんなじやし)
「就職おめでとう。介護士になるんやて？」
突然放たれたおめでとうの言葉にAは驚いた
坂本勇人から言われるなんて思ってもみなかったからだ
藤川のホームパーティには何度か参加させてもらってきたが
この坂本という人物が参加するのは非常に珍しく
Aも今までに一度しか会ったことがなかった
藤川が声をかけると皆断ることはほぼないが
坂本だけは違っていた
藤川も無理強いはせず
『そか、ほなまた来てな』と言う
以前に会った時は挨拶程度で
その以外に一言も会話することはなく
他の選手や夫人、娘たちと過ごしていた
「あ、ありがとうございます」
「立ち話もなんやからそこ座ろか？」
言われるがまま縁側のウッドデッキに誘導される
庭では秋山選手
スワローズ山田哲人選手
広島カープ菊池選手らがかなり呑んだ状態で水遊びを始めた
ホースと水鉄砲を使い、2対1の勝負をしている
「うーわまだまだ寒いのに
めちゃおもろいことなってるやん
俺も混ざろうかな？なあ？」
坂本は3人の様子を見ながら缶ビールを煽り
こちらに話を振ってくる
「そういうたら、自分と喋ったことないな」
「そういえば…話したことないですね…」
「え、自分呑んでないの？飯は？食うたんか？」
首を横に振る
「何してんねん…しゃーない、ちょっと待っとき」
すっくと立ち上がり
バーベキューグリルまで走って行く坂本
呆気に取られたAは
待っていたビールを落としそうになる
(あ、亀井さんにも渡さなきゃ)
Aも坂本に続いて行った
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作者名：おか(´･ω･`) | 作成日時：2021年7月4日 19時
