7話目のお話 ページ7
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時間にすると、1〜2時間ほど経っただろうか
山ほどあった食材もプロの選手にかかるとほぼ無くなり
各々が程良く酔いの回った頃
一台のタクシーが藤川家の前に停車した
「いやホンマ、タクシーて便利やなー」
「便利やなーちゃいますよ!
家の場所知ってる言うからついてったのに
方向が全然ちゃいますやん!」
ゲラゲラ笑い声を上げて2人の男が藤川家のインターホンを鳴らした
主人の藤川が対応に出る
「インターホン鳴らす必要ないやろ!
そんだけ玄関先で大声で笑てたら誰でも飛んで出るわ!」
「あはは!それもそうスね!」
「ホンマここに着くまでに亀さんに相当振り回されましたよ!」
藤川が案内してきたのは
読売ジャイアンツの亀井善行と
坂本勇人の2人だった
「お疲れさまっす!亀さん、勇人さん」
「2人とも遅いじゃないスか!」
「誰かビール持ってこーい」
「あ、はーい」
誰がそう言ったのかはわからないが
Aがビールを取りにキッチンへ向かった
キッチンでは、藤川夫人と2人の娘が
追加の食材の準備をしている
「Aちゃん、誰が来たの?」
「あの笑い方は亀井さんかな
もう1人はわかんない」
夫人の問いにAではなく娘が答えた
「さすが娘ちゃん良く知ってる
もう1人は坂本さんでした」
冷蔵庫からビールを4、5本取り出しながらAは笑う
それを聞いた藤川夫人は驚いた表情をして見せた
「えー珍しい。坂本くんが来てるんだ」
藤川の引退試合は甲子園で行われ
試合前の花束贈呈役を坂本勇人が担った
試合結果はジャイアンツの勝ちだったが
プロ最後のマウンドで投げている藤川は
とても楽しそうでもあり
寂しそうでもあった
あの引退試合からもうすぐ一年
Aは自室のテレビで観戦しており
原監督が代打で坂本を起用したことに驚いた
(あ…
送る側と送られる側…どちらも精一杯の
気持ちを表してるんだ…)
チームの代表として選ばれた坂本は
プロ野球選手・藤川球児を
しっかりと送り出した
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作者名:おか(´・ω・`) | 作成日時:2021年7月4日 19時