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会議室の前で勇人さんを待つ
許せない、許さないと思ってはいるが
今大会に勇人さんがいないとなると
チームとしてもかなりの痛手になる
それは国際試合経験の少ない俺でもわかることで
やはり、あの人がいてもらわないと
メダル獲得が夢で終わってしまう
胸の中がモヤモヤとしてスッキリしない状況の中
勇人さんが向こうから駆け足でやってきた
「梅ちゃん、巻き込んでごめん」
少し暗いトーンで、勇人さんは俺に声をかける
「…俺、勇人さんのこと信じてます
Aちゃんのことも」
俺だって…本当は2人を信じたい
でも今の俺には、勇人さんの顔をまともに見られるほど
心に余裕はなかった
あの日の食事の後、先にAちゃんをタクシーに乗せていたら
もしかしたらこんなことになっていなかったかもしれない
そんな後悔をしたまま、会議室の扉をノックした
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
監督やコーチ陣を目の前に
俺と勇人さんの2人は、ことの経緯を全て話した
途中、金子ヘッドコーチが耳を疑うようなセリフを口にする
Aちゃんが遊ぶ金欲しさに
週刊誌に情報を売ったんじゃないか、と…
冗談じゃない！
彼女がそんな低俗なことをするわけがない！
怒りを抑えられなかった俺は立ち上がって抗議した
「いくら金子ヘッドコーチでも
その発言は聞くに堪えません
撤回していただけますか」
冷静でいたかったけど、それは無理な話だ
金子ヘッドは謝罪の言葉を述べたが
何も知らない人間は、こうも勝手なことが言えるのか
俺はただただ、腹立たしく、悲しかった
その場にいた全員がしばらく沈黙の中にいたが
それを稲葉監督が破った
「勇人、相手の子に連絡つくか？」
その言葉に驚いて顔を上げると
監督の表情は穏やかで、それでいて
『心配するな』
と言っているようにも見えた
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作者名：おか(´･ω･`) | 作成日時：2021年7月4日 19時
