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Sakamoto's turn ページ38

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「おい勇人!起きろ!」


誰かがドンドンとドアをノックしている

誰や…起こしに来てくれた…にしては乱暴やな

イヤでも目ぇ覚めるわ



先日から強化合宿が始まり

俺らメンバーは滞在先のホテルで寝泊まりしている

週末には楽天イーグルスと読売ジャイアンツとの

強化試合が控えていて、練習漬けの毎日が始まった



ただでさえ朝が苦手な俺は苛立ちながら出入り口へと向かう


「朝からうるさいねん!…って、将大やん」


勢いよく扉を開けると

そこには田中将大が仁王立ちになっていた
 

「お前まだこんなことやってるんか!
 頼むから少し落ち着いてくれよ!」


将大は俺の目の前に週刊誌を突き付けた


「…いきなりすぎです将大さん…」


週刊誌を受け取り、寝起きでハッキリしない目を凝らして記事を読む


『読売ジャイアンツ・坂本勇人の新恋人を激写』



……は?



『某月某日、関西のとある個室付き居酒屋にて
 ジャイアンツ・坂本勇人と一般女性が
 2人きりの食事会を開いていた。
 2時間後、食事を終え2人は仲良く手を繋ぎ店を
 後にする。
 途中、周囲の目も気にせず路上でキスを……』



なんじゃこりゃ



もしかしてAと梅ちゃんと3人で飯行った時のヤツ?

てか、梅ちゃんおったし、手は繋いだけど

キスは不発やぞ?



…てゆーかこれ、アカンやつやな

今この時期にやられるとは、迂闊やった



「お前、こんな大事な時にすっぱ抜かれて
 …どうするつもりやねん」



普段は温厚な将大が、鬼みたいな顔して怒っとる

こんな顔の時の将大は本物の鬼より怖い



「まーくん、これってみんな知ってるん?」

「何がまーくんやアホ!」



ゲンコツが俺の頭上に降ってきた



「いたい…」

「ケガせん程度に手加減してやったんや!
 ありがたく思え!」



どつかれた頭をさすっていると

廊下の向こうから梅ちゃんが走ってきた

どんな姿も絵になる男や…



「勇人さん、俺今から会議室に行くんで
 あとで勇人さんも来てもらえますか?」

「梅ちゃんも知ってるんかぁ、困ったなぁ」



ぽつり呟くと

将大がさらに恐ろしい形相で俺に怒鳴る



「なに呑気なこと言うてるねん!
 早よ着替えて行ってこい!」



将大に部屋に押し込まれ、俺はのらりくらりと服を着替えた

自分自身のことはなんとかなるが

問題はAのこと

彼女のことが何より心配だった

俺は不安を感じながらも自分の部屋を出ることにした









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作者名:おか(´・ω・`) | 作成日時:2021年7月4日 19時

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