32話目のお話 ページ33
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食洗機が動き、洗濯機がまわる
Aは坂本にコーヒーを入れ
坂本は充電しつつスマホを触っていた
「何パーセント充電できましたか」
「んー、20パー」
時刻は22時を過ぎた
はぁ、とAはため息をつく
「今何パーセントですか」
「今さっき20やて言うたやろが！」
ゲラゲラと笑う坂本
そんな笑わなくても…と、Aは膨れっ面になる
坂本はスマホを置き、コーヒーを一口飲むと
Aに向かって座り直した
「今日は来てくれてありがとう
ほんま、楽しかった」
坂本の真っ直ぐでキレイな眼を直視することができない
改まって言われ、Aはつい眼を背けた
「でもさ、そんなに俺に帰って欲しいん？
さっきからずっとため息ついとる」
坂本に痛いところを突かれてAの表情が硬くなる
「あの…」
「クマさんか？」
「違います！いや違わないけど！」
声に出さず坂本は笑う
「Aちゃんてさ
人と話す事が苦手やったりする？」
うん、とAは頷く
「自分の気持ちとか伝えるの、すごく苦手で…
だからあんまり友達いないです」
「男友達も？」
「いません。男性は苦手です」
ふむ、と何か考えた坂本
コーヒーの入ったマグカップを両手で持ち
思いついたように話し出した
「男性が苦手って言うのにちょっと悪いけど
今日から俺らと友達なるのはどうやろ？」
「え？！」
坂本の突然の思いつきに
Aはただただ驚くばかり
「梅ちゃんとか涼介とか哲人とか…
もちろん俺もやけど、友達になればええねん」
「でも、皆さんにご迷惑をかけてしまいます…」
「そりゃ、いらんことしたら迷惑なるけど
フツーにしてたら問題ないやろ？
こないだみたいにバーベキューしたり
時間が合えば飯に行ったり」
一般人の私が、プロの選手たちと友達に…
Aはなんだかくすぐったい気持ちになった
あまり関わったことのない坂本に
こんな風に気遣ってもらえることが
とても嬉しかったのだ
「言うてすでに球児さんと知り合いやん
なかなかの今更感はあるで？」
「…！！
そう言えば、そうでした」
2人は顔を見合わせて大笑いした
男性とこんなに落ち着いて話したことが無かったA
この先、少しトラブルに巻き込まれることになる
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作者名：おか(´･ω･`) | 作成日時：2021年7月4日 19時
