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it's your turn ページ31

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「ママチャリきついなー!漕いでも進まん!」

「坂本さん乱暴すぎ!私の愛車が壊れる!」



私を後ろに乗せてガチャガチャと必死に自転車を漕ぐ坂本さん

信号を右、突き当たりを左、と

私はナビゲーターになり、自宅までの案内をした



「坂本さん、重くないですか」

「重かったら進んでないやろー」



彼はふうふうと息を切らし、目の前の上り坂を進んでいく

傾斜はそこまでキツくないんだけど

速度が落ちたり荷物を積んでいたりすると

なかなかの辛さがある



と思ってたら、さすがプロスポーツ選手!

難なく坂道を上り切っちゃった



「あれ、なんや
 ここら辺て球児さん家の近くやん」

「そうですよ、藤川家まで徒歩3分」

「まじかー!どんだけ近所やねん!」



どおりで見たことある思った!と

驚いた彼はまたすぐに自転車を漕ぎ出す

少し進むと私の住むハイツはもう目の前だ



駐輪場に愛車を停め、2階への階段を登る



「わりかしキレイなとこやな」

「築浅ですからね」


坂本さんは階段やポスト、他の部屋の様子を

キョロキョロと見ながら私の後についてくる



角の自分の部屋の前に立ちガチャリと鍵を開けた瞬間

掃除をしていないことを思い出した



「…坂本さん」

「なんや、早よ入ろうや」



勢いよく扉を開け、自分だけ中に入る



「あっ!こら!俺も入れんかい!」

「5分!5分だけ待ってください!」



この部屋は絶対!誰にも!見せられへん!

私はダッシュでリビングへ向かい

散らかった洗濯物を洗濯機に詰め込み

シンクに溜まった食器を全て食洗機へ放り込む

テーブルの上を片付けはじめたところで

玄関の扉が閉まる音がした

ハッと振り返ると廊下に坂本勇人が立っている




「これ、落ちてたで」




彼のその手には何かが握られている

よく見るとそれは、私の下着…

にやにやとそれを得意げに見せてくる

この時、彼の手から下着を奪った私の速さは

ウサインボルトの100m世界記録9秒58よりも

速かったと思う…たぶん



「うっわびっくりした!めっちゃ早っ!」

「見たやろ!変態!アホ!ボケ!」



取り返した下着を後ろ手で隠したけど

坂本さんは変わらずニヤついている



「俺は落とし物を拾っただけや?
 
 可愛いクマさんなんか見てないで?」



まじで恥ずかしい

誰にも見せたことないのに

もう…終わった、死にたい



洗濯機に放り込む時に落としたんだろう

まじで死ぬしか…ない



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作者名:おか(´・ω・`) | 作成日時:2021年7月4日 19時

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