it's your turn ページ29
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私に背を向けたまま
坂本さんはずっとしゃがんで待っている
「い、いいですよ！恥ずかしいし！」
私が遠慮しているとチラッとこちらを見た
「エエからほら、歩かれへんのやろ？」
今日の坂本さんは妙に優しい
さっきも…思わずカバンで横殴りにして回避したけど
やっぱりなんか変
「早よせぇや。ほんまお前は素直やないな！」
立ち上がった彼は私の腕を自分の背中から肩に回した
そのまま前屈みになるとふわっと体が浮きあがり
私は彼の背中におぶさる形になった
道ゆく人たちがジロジロとこちらを見ては通り過ぎて行く
おんぶされて恥ずかしいし、何よりも…
…たっ、高い！怖い！
この人の身長は180センチ以上あるはず
いつもの目線とは違い、通り過ぎる人たちの頭のてっぺんが見えた
「怖いっ！」
普段見ることがないその高さの景色に怖くなって
思わず坂本さんの首に回した腕に力が入る
「苦しっ！ぐぇっ！」
彼がパンパンと私の腕をタップしなかったらずっと締め続けていたかも
てゆーか私いま、密着し過ぎちゃう？！
ファンがおったら刺される？！
しかも恥ずかしすぎる！
「もっ、もういいですから！降ろして！」
「アカン」
「なんで！イヤや！」
「俺もイヤや」
心臓の鼓動が彼の背中に伝わっていないことを祈る私
出来るだけ背中から離れるように
彼の肩に手を乗せて肘を伸ばす
「あんまり後ろに体重かけると落ちるで」
「…はい」
「お、エラい素直やん
普段からそれくらいでないとな」
さっきの場所からたった数十メートルを進んだだけやのに
心臓が口から飛び出しそう
やっぱり今日の坂本さんは変や
充電させてくれってウチに来るつもりみたいやし
足が痛いからっておんぶしてくれたり
いろいろと勘繰ってしまうのは
相手があの坂本勇人やからかな…って思った
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作者名：おか(´･ω･`) | 作成日時：2021年7月4日 19時
