it's your turn ページ17
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本心の言葉かどうかは分からない
彼の謝罪の言葉はどこか掴めなかった
1度でも口に出した言葉は2度と戻せない
一時的な感情に流されて
思った全てを発してしまうと
必ず後悔することになる
私がそうだった…
大好きだった私の祖母
後悔した時にはもう、亡くなった後だった
言葉の怖さをわたしは知っている
だからこそ、考えて言葉を口にする
自分の言葉に責任を持つようになった
「…やから、って言うのも
おかしい思うやろけど…
今回のこと、許して欲しい」
遊び人でオラオラ系で
こう言えばみんなは許してくれる
というのをわかっている人
19歳でプロの世界に入って
世の中の仕組みや社会を何も知らない
いわゆる世間知らずな人
確かに昨日の彼の発言は私をバカにしたもので
わかったよ、と許せるものではない
私の動き回る姿を見て
『ダメ男製造機』
って思ったのはおそらく本心だと思う
けど、それを言葉に出して良いものか？
結果として、ぶっ倒れてしまった私に
何かしら責任を感じて謝罪をする
その場しのぎの言葉を並べておけば
許してもらえると思ってるのだろうか？
そんな風に考えたけど
プライドの塊のようなこの人が
こんな小娘相手に謝るのは
なかなか勇気がいることなんじゃないか？
とも思う
10歳も年下の私が言うのも変な話やけど
水に流そうと思った
「あの…坂本さん」
私が声をかけると、彼と目が合った
彼の目はとても綺麗で
つい、そらしてしまう
「わ、私も…ごめんなさい」
「それは、許してもらえるってことか？」
私がうん、と頷くと
彼はホッと安堵したようだった
「良かった…じゃあ、はい」
そう言って彼は右手を差し出したが
私には彼が何をしたいのかわからない
「？？」
「仲直りの握手」
ズイ、とさらに右手を差し出す
仲直り…相当子供扱いされてるな…
ちょっとバカにしすぎでしょ
…とは思ったけど、ここはガマンして
その大きな手に自分の手を滑らせた
ぐっと握り返してきたその手の感触に
なんとなく覚えがあった
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作者名：おか(´･ω･`) | 作成日時：2021年7月4日 19時
