15話目のお話 ページ15
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話は現在時刻、午前5時に戻る
「さっ、坂本さん!?」
「坂本くん!
キミなんでここで寝てんのや!」
坂本は頭を掻きむしりあくびを一つ
「いや…こいつが」
指した先には藤川家の愛犬『おもち』が
短い尻尾をちぎれそうなほど激しく振っている
「寝てたら部屋に入って来たんすよ」
どうやらケージから脱走し
坂本の寝ている部屋へ侵入したらしい
坂本がおもちに連れられリビングまで来ると
Aのそばで前足をリズミカルにストンプさせたそうだ
「俺も戻ろうとしたんすよ?
でもその度に裾に噛み付いてきて」
坂本の履いているパンツの裾が縦に少し裂けていた
おそらく噛み付いて引っ張ったのだろう
「すまん坂本くん!
こら!もち!」
藤川がおもちを抱き抱えるがおもちは知らん顔
ふと、藤川の娘が疑問を口にした
「せやけど、もちはなんで坂本さんを
先生のとこに連れて来たんかな」
毛布に包まったままのAと向かい合っている坂本の視線がばっちりと合う
『わん!』とおもちがひとつ吠え藤川の胸から飛び降りると坂本の膝の上に飛び乗った
「と…とりあえず、朝ごはんにしましょうか
ちょっと早いけど」
藤川夫人がそう提案すると
皆がそうしよう、とそれぞれの部屋に戻る
残されたAと坂本
気まずい空気が流れる
「えーと…わ、私も顔洗ってこよ!」
「あ!ちょっと待ってくれ!」
Aが立ち上がろうとすると
坂本がそれを制止した
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作者名:おか(´・ω・`) | 作成日時:2021年7月4日 19時