アズール・アーシェングロット…「小さな丘の上で」１ ページ35
海は、実は凄く冷たいところらしい。
勤勉な少年、アズール・アーシェングロットは本を読んでそんな事を知った。
(僕たち人魚からしたら、ちょうどいいくらいなのに)
陸の生き物はおかしい。幼いながらにアズールはそう思った。
「うわっ！まーたアズールが一人で本読んでるぞ！」
「いっつもひとりで引き篭ってるから、あんなにデブなんだよ。魔術とか陸とかの本ばっかり読んでるし、気味悪い」
「前にあいつが言った言葉覚えてるか？
「大魔法士になって、お前たちに僕の実力を見せつけてやる！」だよ。
顔真っ赤にして怒っててさぁ」
「それにあいつだけ足が多いし、太ってるし。
正直いって気持ち悪いよな」
周りの人魚たちは僕を認めてくれない。
みんなして僕を罵倒する。
でも、僕はあんな奴らに構っている暇はないんだ。
今に見てろ。絶対に大魔法士になってやる。
アズールには、心安らぐ友達がいなかった。
あんな奴ら、あんな奴らという態度を取っておきながら、
本当は怖かった。
そんな彼の唯一の娯楽は本だった。
魔術の本。陸の動物の本。おとぎ話。
本で効率よく知識を吸収すれば、
僕を馬鹿にしてくる奴ら全員を見返せる。
そんな彼はいつしか海底にある本を読み尽くした。
毎日毎日本にあけくれる日々が送れなくなる。
アズールは焦った。
そこで、本で蓄えた知恵である事を思いついた。
(そうだ……人間の本を読もう。
陸には人間がいる。人間の世界にある本や情報は、海の中とは比べ物にならないんだって、昔本で読んだ)
アズールは人間というものに興味があった。
人魚と似ている上半身をしている。
二足歩行で、水の中では呼吸ができない。
人魚と比べて泳ぐのが遅い。
なんて不思議な生物だろうか。
博物館には、人間界から落ちてきた用途不明の物体が幾つも並べられている。
そんな不思議な生き物、人間と話すことが出来たなら、
僕は海の底の大スターになれる。
きっとみんなを見返せるし、
僕は人気者になれる。
アズールはそんな淡い期待を抱きながら、水面まで上がり、人間のことを知れるようにと準備をした。
いざと言う時の非常食。
魔法だっていつでも出せるように準備しておく。
その他諸々を持って、アズールはみんなにバレないように海の上へ上へと向かっていった。
太陽の光で、海の色が深い藍色から軽やかな水色に変わっていく。
なんて、素敵な光景だろう。
アズールはそう思った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 7人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
港 - リクエストありがとうございます！詳しく書いてくださったのでわかりやすいですね！書くのが遅いので順々になりますが必ず書きます！ (2022年5月19日 18時) (
レス) id: 8a6bf88ba9 (このIDを非表示/違反報告)
マリイ - リクで鬼滅の刃で夢主が妓夫太郎を養子にして夢主が妓夫太郎に付けた名前は飛鳥 妓夫太郎は夢主に依存して夢主は妓夫太郎を溺愛してる (2022年5月11日 18時) (レス) @page1 id: 70be676ed1 (このIDを非表示/違反報告)
港 - リクエストありがとうございます！承りました〜今書いているのが終わったら取り掛かりますね！ (2022年3月18日 17時) (レス) id: 8a6bf88ba9 (このIDを非表示/違反報告)
スピカブラック - リクエストでアズールで甘で書いて下さい！ (2022年3月17日 17時) (レス) id: 7ca7b99cb8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：港 | 作成日時：2022年2月2日 22時
