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「とりあえず中に入ろっか」

オルトは不思議だった。
外に出ることを極端に嫌がり、ショッピングでさえも出来る限りネットを使う兄が自発的に外に出るなんて。

「え、えっとそれは……」

イデアは焦っていた。
クラスの陽キャに悪口を言われて心細かったから弟を探した。なんてダサすぎる。

イデアは自分のことをあたかも嫌いだという風に装っているが、実はプライドが高いのだ。

「あー、気分転換に散歩しよっかなって」

イデアの目が泳ぐ。
完全にオルトを視界に入れていない。

「……そっか」

嘘だとはわかっていながらも、納得したようにオルトは笑った。

「あ、そういえば」

オルトが口を開くとイデアは少しだけ身震いした。

「父さんと母さんがAさんとどうにかして縁をつけて欲しいって。

出来れば早めに」

兄さんは聞いたら嫌だって言うと思うんだけど。
そんな前置きから始めった話はイデアにとって最大難関イベントだった。

はあ?ふざけないでくれ、息子をなんだと思っているんだ。
いやさ、事情はわかるよ?わかっているけどさあ……

拙者にそんなことできるとお思いで?
まじで無理。無理だって言っておいてよ、オルト。

はあー、まじでリアルはいいことないっすわ。
早く自室に帰ってがけもでも見よ。

そんなことをイデアは言おうとした。
きっと、今までのイデアなら簡単にそれを口に出していただろう。

イデアは頭を抱えた。
なぜだか、そこまで嫌な気はしないのだ。

むしろ欲にまみれた打算がイデアの頭を駆け巡る。

(……これ、実はチャンスなのでは?
もしアプローチしてキモがられてもきっと「親に何か言われたんだろうな……」とか思ってくれるんじゃ?

……いやいやないない。あっちはキモオタに熱烈アプローチ喰らっても嬉しくないどころか吐き気催すよね。

いやぁオタクがどうもすみませんねハイ。
いやでも親孝行の一環ですし?

別になーんも拙者悪いことなんてしてないも同然なのでは?

あーいやでもやっぱり)

イデアはデュフフとオタク特有の笑みをこぼしたり、
突然青くなったりなど百面相をしていた。

オルトはよくわからなかったが、
思っていたより拒絶しないらしいので安心した。

「……兄さん、それでどう返答する?
僕は兄さんの味方だよ。兄さんの意見をできる限り尊重する。

……きっとそれは父さんと母さんも同じだよ。
大丈夫、僕が説得する」

「お、オルト!やってみる、まずやってみるから!」

イデアは声を張った。

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- リクエストありがとうございます!詳しく書いてくださったのでわかりやすいですね!書くのが遅いので順々になりますが必ず書きます! (2022年5月19日 18時) (レス) id: 8a6bf88ba9 (このIDを非表示/違反報告)
マリイ - リクで鬼滅の刃で夢主が妓夫太郎を養子にして夢主が妓夫太郎に付けた名前は飛鳥 妓夫太郎は夢主に依存して夢主は妓夫太郎を溺愛してる (2022年5月11日 18時) (レス) @page1 id: 70be676ed1 (このIDを非表示/違反報告)
- リクエストありがとうございます!承りました〜今書いているのが終わったら取り掛かりますね! (2022年3月18日 17時) (レス) id: 8a6bf88ba9 (このIDを非表示/違反報告)
スピカブラック - リクエストでアズールで甘で書いて下さい! (2022年3月17日 17時) (レス) id: 7ca7b99cb8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2022年2月2日 22時

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