��療養 ページ33
｢では、獪岳さん。怪我の状態についてお話しますね｣
｢......よろしくお願いします｣
お昼になってから蟲柱の胡蝶さまが部屋を訪れ、獪岳の怪我についての説明を始めた。
私は席を外そうとしたのだが、獪岳にここに居ろと言われたのでベッドの近くの椅子に腰掛けた。
｢足や腕を少々擦りむいています。これはさほど問題ないでしょう。さて、腹部の出血が目立ちましたが少し大人しくしていれば傷や痛みも直ぐに良くなります。
心配せずとも、五日間ほどこの蝶屋敷で療養すれば任務も今まで通り出来るようになりますよ｣
大人しくしていれば、ですけど。と、美しい笑顔で説明をして下さる胡蝶様はさらに話を続けた。
｢お二人は刀も持たずに丸腰状態だったという事ですが...。いくら身体を鍛えているとはいえ、不用心だったと反省してくださいね｣
｢すみません、私のせいです...
刀を持っていなかったのも、獪岳が怪我をしたのも...... ｣
刀は常に身につけているべきだった。自分の警戒心の無さにほとほと呆れる。
......私がもっとしっかりしていれば、獪岳が怪我をする事なんて、
｢......Aさん。起きてしまったからにはいくら嘆いても、どうしようもありません。獪岳さんは生きていたんですから、そんなに落ち込まずに今回のこの経験を次にいかしてくださいね｣
｢はい...｣
流石胡蝶さま。柱という事もあって説得力がある。
｢しかし運が良かったですね、獪岳さん。
普通であればこれ位の怪我では済みませんでしたよ。
村田隊士の報告から推測するに、普通ならば腹が裂けていてもおかしくないんですからね｣
｢..................はい｣
獪岳が長く間を空けて返事をする。
どういうこと？
不思議に思っていると、胡蝶さまが言った。
｢着物の内側に入れていた包みが、獪岳さんの肌に達する前に切られたんですよ。だから彼は少ない怪我で済んだんです。包みを開いてはいないので中身は分かりませんが、硬いものが入っていました｣
｢...そうなの？獪岳｣
｢.........嗚呼｣
私が獪岳の方を向いて問うと、すっと顔を背けて返事をした。...どうしたの？
｢では、獪岳さんについては以上です。
さてAさん。貴方もこの屋敷で過ごしていってくださいね。機能回復訓練の指導役として働いてもらいますので｣
｢えっ...｣
そういうと胡蝶さまはさっきと同じくニコリと微笑んで部屋を出ていってしまった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 122人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
くろすけ(プロフ) - いままでこのお話を読んでくださった皆様、素敵なコメントをくださった皆様、ありがとうございます。ご縁がありましたら、またよろしくお願いいたします。 (10月15日 13時) (
レス) id: 5d290dfab7 (このIDを非表示/違反報告)
くろすけ(プロフ) - それにあたりまして、今後『獪岳と同期の子の話』については、支部にて、「胡麻/瑠璃/ばりぼり/」というユーザー名のアカウントから更新させていただきます。 (10月15日 13時) (レス) id: 5d290dfab7 (このIDを非表示/違反報告)
くろすけ(プロフ) - Ms3さん» コメントありがとうございます。こちらの作品アカウントにログインできなくなってしまったため、今後このサイトから作品を更新することは一切ありません。しかし、私自身この作品に思い入れがあるため、別サイトにて修正、更新をさせて頂こうと思っております。 (10月15日 13時) (レス) id: 5d290dfab7 (このIDを非表示/違反報告)
Ms3(プロフ) - 全て読ませていただきました！今まで読んだ小説で一番好きです…文章の書き方が美しいです…更新まっています。乱文失礼しました。 (2022年1月30日 17時) (レス) id: 97ad62886e (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃(プロフ) - 月花さん» わからないです...村田さんは凄く好きなキャラクターなのでお名前知りたいです...、、 (2020年3月19日 10時) (レス) id: 2740432cb0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ばりぼり | 作成日時：2020年3月4日 10時
