獪岳と同期の子の話

一日目 嫉妬 ページ23

男性と仲良くおしゃべりを続けて時間が経った。

もうそろそろ良い頃合かなと思った時、


｢どうです、お嬢さん。
息抜きついでに僕とお茶でもー｣

｢おい...いや、失礼。｣





獪岳が話を遮った。素が出そうになってる...。
そのまま獪岳は男性と私を引き離して、私の肩を抱く





｢俺の連れに、なにか？｣


｢いや何、君がこの人を放ったらかしにしたから、
こうしてお話していたんですよ｣


｢そうよ、義明さん。私怒っているんだから｣



少し困らせてあげようと思う。
退屈だったんだからね




｢悪かったな.........桃子。｣

｢......えっ｣


『桃子』って私の事？
勝手に名前つけないでよ、考えてたのに....


｢俺たちの新居を決めるんだ。
同じ年頃の女性達から話を聞いて、お前が納得出来るような場所を探してたんだよ...｣

｢義明さん...｣




頑張って優しい言葉を使おうとしてくれてる獪岳。
私の肩に添えられた手に力が入っているのがわかる。
痛いわね、ちょっと。



獪岳と顔を合わせる。なるほど、この辺の情報はある程度手に入れられたみたい。

じゃあここからは離れないと。




｢ごめんなさい...私つまらない嫉妬をしてしまったの。貴方の考えていることも知らないで...｣


｢俺も悪かった...さぁもう行こうか｣


ポカーンとした顔の男性を置いて、私たちは街からそそくさと撤退した。




・




｢獪岳、お疲れ様...｣

｢おう......血管切れるかと思った。...顔も痛てぇ｣


頬を片手で擦りながら獪岳がボヤく。
ずっと笑顔でいるのは疲れるよね。


｢普段あんなに変な顔しないもんね。
でも凄い良い演技だったよ。
お芝居に向いてるんじゃない？｣


獪岳は苦い顔をする。


｢...とりあえず学生の振りはもうしねぇ｣

｢賛成｣



話の内容は学生とは全く関係なかったものね。
...こんなのでお館様に報告出来るのかしら

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