一日目 役者 ページ22
｢とりあえず、今日は街の人と仲良くなる事を目標にしましょう。愛想良くしてね｣
｢おえ...｣
獪岳は口を抑えて吐く真似をする。
...なにしてるの？
｢そんな顔しないでよ、仕事でしょ？
村田さんと話す感じでいいから...｣
そう言うと獪岳は少し考えた素振りを見せた。
そしてボソッと、｢...後で俺の頼みも聞けよ｣
といった。
そんなこと言わなくても、獪岳の頼みならいつでも聞くのに。
｢わかった。何でもしてあげるから。
ほら、話しかけやすそうな雰囲気の人探そう｣
｢...お前は見てろ。そこから動くな｣
｢え？｣
それからすぐの事。
獪岳のあまりの演技に私は驚くのだった。
・
はぁ。獪岳ってやっぱり凄い。
あっという間にこの街に馴染んで、色んな人から話を聞いてる。...主に女から。
｢俺、この街に今度引っ越そうと思ってるんです。
今回は下見としてありのままの街の様子を見たくて...｣
｢まァそうなんですね。
ところでお家はどこにするかきめているんですの？
よろしければわたくし達がお勧めの場所を紹介いたしますわ！｣
｢ええ、治安の良い場所をお教え致しますわ！
さぁ行きましょう、義明さん！｣
獪岳は『よしあき』という名を名乗って好青年を演じている。...悪くない。むしろいい感じ。
街の事も聞き出せそうだし。
｢ありがとうございます。お嬢さん方は頼りになりますね。そうだ、治安といえばー...｣
ニコッと人の良さそうな笑みを浮かべて会話を進める獪岳。女の子たちは顔を赤く染めて、彼に見惚れている。
獪岳ったらとんだ役者ね。
ちなみに私は今、そんな獪岳たちの近くで事の成り行きを静かに見守っている。
効率が悪い気がするわ。私も情報収集するべきだと思う。ふぅ、と短くため息をつく
すると一人の男性が話しかけてきた。
洋服に身を包み、裕福そうな格好をしている。
｢こんにちは、お嬢さん。
こんな所でどうしたんです？｣
ちょうどいい。この人で少し遊ぼうかな。
｢......私、近々ここに越してくる予定があるのです。
今回は下見として連れの者と街を歩く予定だったのですが、彼は他の女性とのお喋りに夢中のようでして｣
ちらりと獪岳の方を見ながら男性に言う。
すると男性は、
｢なんて酷い人だ...。
こんな可憐な女性を放っておくだなんて。｣
と私に同調してくる。
いいわね、この人。もう少し楽しめそう...
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 122人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
くろすけ(プロフ) - いままでこのお話を読んでくださった皆様、素敵なコメントをくださった皆様、ありがとうございます。ご縁がありましたら、またよろしくお願いいたします。 (10月15日 13時) (
レス) id: 5d290dfab7 (このIDを非表示/違反報告)
くろすけ(プロフ) - それにあたりまして、今後『獪岳と同期の子の話』については、支部にて、「胡麻/瑠璃/ばりぼり/」というユーザー名のアカウントから更新させていただきます。 (10月15日 13時) (レス) id: 5d290dfab7 (このIDを非表示/違反報告)
くろすけ(プロフ) - Ms3さん» コメントありがとうございます。こちらの作品アカウントにログインできなくなってしまったため、今後このサイトから作品を更新することは一切ありません。しかし、私自身この作品に思い入れがあるため、別サイトにて修正、更新をさせて頂こうと思っております。 (10月15日 13時) (レス) id: 5d290dfab7 (このIDを非表示/違反報告)
Ms3(プロフ) - 全て読ませていただきました！今まで読んだ小説で一番好きです…文章の書き方が美しいです…更新まっています。乱文失礼しました。 (2022年1月30日 17時) (レス) id: 97ad62886e (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃(プロフ) - 月花さん» わからないです...村田さんは凄く好きなキャラクターなのでお名前知りたいです...、、 (2020年3月19日 10時) (レス) id: 2740432cb0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ばりぼり | 作成日時：2020年3月4日 10時
