��袖すり合うも他生の縁 ページ20
今日は私にとって大事な大事な休みの日。
早起きして隊服の上から着物を羽織る。万が一鬼に遭遇したら面倒だからだ。刀も竹刀を仕舞う袋に入れて方に背負う。
そして街に繰り出て、獪岳とのお茶会に良さそうな店を探す。いくつか目星はつけてあるので順番に周っていくつもりだ。
任務で行ったことのある街は必ず茶屋と御飯処をチェックする。それが私の非番の過ごし方
二軒ほど茶屋をハシゴしていると昼になっていた。軽いものしか食べていなかったので、そろそろガッツリご飯を食べようと思う。
｢よし...｣
この街は旬の食材を使った美味しい料理を提供してくれると評判の店があるので、そこへ行こうと歩き出す。
すると、酒屋から出てきた人にぶつかってしまった。
｢きゃっ！...ご、ごめんなさい｣
ぶつかった相手は背の高い男の人だった。
身にまとっている着流しはヨレていて、顔の印象も含めて全体的に寂れている。
勿体ない...。きちんと整えればきっと物凄く男前なのに
｢...いや、こちらもすまない｣
｢いいえ、そんな...。失礼しました｣
頭を下げて謝罪する。
顔を上げると、男の人が私の顔をまじまじと見てこう言った。
｢...鬼殺の者か｣
｢！......育手の方でしたか。
...お詫びと言ってはなんですが、これを受け取ってはくれませんか｣
まさか育手だったとは...。
なるほど、ぶつかっても動じないわけだ。
育手は私たち隊士にとって師匠であり大先輩だ。
わざとでないとはいえ、失礼をしてしまった。
｢いや、俺はそんな大層なものでは...。
それにこれは君のだろう｣
｢そうおっしゃらず！
どうか受け取ってください｣
｢...気遣い、感謝する｣
育手の男の人は私の差し出した包みを受けとり、軽く頭を下げた。
私はこれで失礼しますと言い歩き出すと
おい、と声をかけられる。振り向くと目が合った。
｢...君、名前は｣
｢Aと申します。...貴方のお名前を伺っても？｣
｢...、.....槇寿郎という｣
そう言うと槇寿郎さんは踵を返して行ってしまった。
私は料亭へ向かいながら、槇寿郎さんのことを考える。
彼に渡した包みは獪岳へのお土産にしようと思ったのだが、近い内に彼に会えるとも限らなかったので押し付けるような形で渡してしまった。
その事に多少の申し訳なさを感じた。
...に、しても。
｢何処かで見た事のある人だったなぁ｣
今はわからないが、そのうち思い出すだろうと私は呑気に思っていた。
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くろすけ(プロフ) - いままでこのお話を読んでくださった皆様、素敵なコメントをくださった皆様、ありがとうございます。ご縁がありましたら、またよろしくお願いいたします。 (10月15日 13時) (
レス) id: 5d290dfab7 (このIDを非表示/違反報告)
くろすけ(プロフ) - それにあたりまして、今後『獪岳と同期の子の話』については、支部にて、「胡麻/瑠璃/ばりぼり/」というユーザー名のアカウントから更新させていただきます。 (10月15日 13時) (レス) id: 5d290dfab7 (このIDを非表示/違反報告)
くろすけ(プロフ) - Ms3さん» コメントありがとうございます。こちらの作品アカウントにログインできなくなってしまったため、今後このサイトから作品を更新することは一切ありません。しかし、私自身この作品に思い入れがあるため、別サイトにて修正、更新をさせて頂こうと思っております。 (10月15日 13時) (レス) id: 5d290dfab7 (このIDを非表示/違反報告)
Ms3(プロフ) - 全て読ませていただきました！今まで読んだ小説で一番好きです…文章の書き方が美しいです…更新まっています。乱文失礼しました。 (2022年1月30日 17時) (レス) id: 97ad62886e (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃(プロフ) - 月花さん» わからないです...村田さんは凄く好きなキャラクターなのでお名前知りたいです...、、 (2020年3月19日 10時) (レス) id: 2740432cb0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ばりぼり | 作成日時：2020年3月4日 10時
