努力 ページ15
「善逸くんは、獪岳の弟弟子なんだよね」
「は、はい。そうです...」
獪岳とAさんは同期らしい。
しかも二人は凄く仲がいいとか...
嘘みたいだ、獪岳と仲良く出来るなんて
「こわい?獪岳のこと」
少し悲しそうに微笑みながら、俺に言うAさん。
「確かに怖いけど、でもそれ以上に尊敬してるし...
憧れてます。」
俺はすぐ弱音を吐いたりするけど、獪岳はそうじゃない。ひたむきに努力して、泣き言も言わないで鍛錬していたのを俺が1番よく知ってる
「.....獪岳に出来ないことがあっても?」
Aさんは辛そうな顔をして、羽織に顔をうずめながらおそるおそる尋ねてくる
「勿論!兄貴は本当に凄いんです!...多少クズなとこもあるけど...。
兄貴の技は凄く洗練されてて強いし格好良いし、じいちゃん、じゃなくて師匠も、獪岳みたいになれって言ってました!俺自身もそんな兄貴に凄く憧れてて!
どんどん遠い存在になって行くから、早く追いつきたいって思うんです。....俺は、壱の型以外は全く出来ないから...」
兄貴が努力しているのを知ってるから。だからあんな風に言われているのを黙って見過ごせなかった。
「...獪岳をお手本にしてたんだ」
「今も獪岳の技を思い出しながら鍛錬してます。全然出来ないけど...。
本人に言ったら怒らますよね、きっと」
愚図だから出来ないんだって、怒られるんだろうな。
Aさんから安心したような、でもちょっと悲しそうな音がする。
「そっか...
善逸くんは獪岳の事、そんな風におもってるんだ」
「はい...。
あ、あのAさん!俺、兄貴に手紙書き続けてるんです!でも、やっぱり返事は帰ってこなくて...」
手紙の話をした途端、Aさんは楽しそうな音を響かせた。
「手紙...ふふ、大丈夫だよ。
善逸くんの手紙はちゃんと獪岳に届いてるし、しっかり読んでるもの」
「え、そうなんですか!?てっきり読まれずに捨てられてるかと思った...」
「恥ずかしくて返事が書けないだけだよ。
...ここだけの話、獪岳はいま一生懸命に字を書く練習をしているの。綺麗な字が書けるようになったら手紙をくれるとおもうよ」
この部屋は二人きりなのに、Aさんは俺の耳に口を寄せてコソコソ内緒話をするように言った。
そして俺から少し離れると、秘密だよ言いながら唇に人差し指を当てて頬を桃色に染めてはにかんだ。
Aさんは獪岳の話となると、まるで恋する乙女のようになる。
...兄貴が羨ましい
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くろすけ(プロフ) - いままでこのお話を読んでくださった皆様、素敵なコメントをくださった皆様、ありがとうございます。ご縁がありましたら、またよろしくお願いいたします。 (10月15日 13時) (レス) id: 5d290dfab7 (このIDを非表示/違反報告)
くろすけ(プロフ) - それにあたりまして、今後『獪岳と同期の子の話』については、支部にて、「胡麻/瑠璃/ばりぼり/」というユーザー名のアカウントから更新させていただきます。 (10月15日 13時) (レス) id: 5d290dfab7 (このIDを非表示/違反報告)
くろすけ(プロフ) - Ms3さん» コメントありがとうございます。こちらの作品アカウントにログインできなくなってしまったため、今後このサイトから作品を更新することは一切ありません。しかし、私自身この作品に思い入れがあるため、別サイトにて修正、更新をさせて頂こうと思っております。 (10月15日 13時) (レス) id: 5d290dfab7 (このIDを非表示/違反報告)
Ms3(プロフ) - 全て読ませていただきました!今まで読んだ小説で一番好きです…文章の書き方が美しいです…更新まっています。乱文失礼しました。 (2022年1月30日 17時) (レス) id: 97ad62886e (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃(プロフ) - 月花さん» わからないです...村田さんは凄く好きなキャラクターなのでお名前知りたいです...、、 (2020年3月19日 10時) (レス) id: 2740432cb0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ばりぼり | 作成日時:2020年3月4日 10時