酒 ページ2
獪岳と別れた後、藤の家の廊下を歩き貸して頂いた部屋へ向かう。
家の人が夕餉を持ってきてくださると言っていたので、それを食べて今日はもう寝るつもりだ。明日も仕事がある。
もっと休んでいたいけど、鬼を滅する為にここにいるのだから寝ぼけた事は言ってられない。
軽く息を吐いたとき、ふと声をかけられた。
｢あれ？Aちゃんじゃん。こっち来てよ〜ホラ、お酌して｣
声の方を見る。
開け放たれた障子の扉。机の上の沢山の酒。零れた酒を吸って汚れた畳に、漂う独特のニオイ。
……最悪。
・
声を掛けてきたのは先程後輩いびり(階級的には上官いびり？)をしていた隊士達。成人を迎えた立派な大人がなにをしているのやら。
この人達だけでもこの体たらく。鬼殺隊の将来は暗い。
「お酌ありがと〜。やっぱ美人に注いでもらう酒はうまいわ」
「もう、お上手なんですから」
表面上の会話をしながら獪岳を殴りつけた人達に酒を注ぐ。
断ったっていいけど、こういうタイプは藤の家の人たちに当たったりするから大人しく言うことを聞くのが吉。
「ほんっとAちゃん最高！今日はツイてるなぁ」
「皆さん酔い過ぎですよ。ほどほどにしないと、任務に支障が…」
｢いいんだよ。ここは酒もタダで飲めるからなぁ、飲まないなんてもったいないだろ」
なんのための藤の家だというの。ここは酒場じゃない。
藤の家紋を掲げている人たちを馬鹿にしているかのようなその態度にふつふつと怒りが湧いてくる。
拳を握って堪えていると、隊士のひとりが私の太ももをするりと撫でながら言った。
｢Aちゃんはアイツと同期だったよな？可哀想になぁ。同期ってだけでAちゃんまで悪く見られちゃうぜ？まぁ俺は違うけど｣
下心丸出し。きも。
「それは変えようのない事実ですから。でも彼、意外と努力家なんですよ｣
獪岳はこの人達と違う。
他の隊士から暴力をうけたってやり返したりしないし、強くなるために沢山努力してる。一般人には優しく接しているし、礼儀もある。…と思う
｢努力家ぁ？冗談だろ。Aちゃんまさか知らない訳ないよな、アイツ…｣
ほら、またそれ。表面しか見ない人はいつもその言葉で獪岳を決めつけようとする。誰だって同じ。
隊士がすべてを言い終わる前に足にまとわりついた手を払い、席を立つ。
｢私もやる事がありますので失礼しますね。お片付けはきちんとなさってください｣
本当に勝手よね。一発ずつ殴ってやれば良かったかもしれない。
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くろすけ(プロフ) - いままでこのお話を読んでくださった皆様、素敵なコメントをくださった皆様、ありがとうございます。ご縁がありましたら、またよろしくお願いいたします。 (10月15日 13時) (
レス) id: 5d290dfab7 (このIDを非表示/違反報告)
くろすけ(プロフ) - それにあたりまして、今後『獪岳と同期の子の話』については、支部にて、「胡麻/瑠璃/ばりぼり/」というユーザー名のアカウントから更新させていただきます。 (10月15日 13時) (レス) id: 5d290dfab7 (このIDを非表示/違反報告)
くろすけ(プロフ) - Ms3さん» コメントありがとうございます。こちらの作品アカウントにログインできなくなってしまったため、今後このサイトから作品を更新することは一切ありません。しかし、私自身この作品に思い入れがあるため、別サイトにて修正、更新をさせて頂こうと思っております。 (10月15日 13時) (レス) id: 5d290dfab7 (このIDを非表示/違反報告)
Ms3(プロフ) - 全て読ませていただきました！今まで読んだ小説で一番好きです…文章の書き方が美しいです…更新まっています。乱文失礼しました。 (2022年1月30日 17時) (レス) id: 97ad62886e (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃(プロフ) - 月花さん» わからないです...村田さんは凄く好きなキャラクターなのでお名前知りたいです...、、 (2020年3月19日 10時) (レス) id: 2740432cb0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ばりぼり | 作成日時：2020年3月4日 10時
