続：獪岳と同期の子の話

誰もわかってやれない ページ12

｢という訳でな...すまないが彼女を元気づけてやってくれないか、獪岳隊士｣



炎柱の話し合いが終わった後からAの様子がおかしかった。部屋の中にこもって何かを考えているようだった。不思議に思い炎柱に何かあったのかを聞くと、一連の流れを教えてくれた。


｢俺に話して良かったんですか、それ...｣


Aは炎柱がキツく叱ってしまったが為に落ち込んでいる、と彼は言う。...本当にそうだろうか？

廊下ですれ違ったときは落ち込んでいるようには見えなかったが。



｢うむ。君は彼女の一番の理解者だろう、問題ない｣

｢はぁ......？｣


確かに行動を共にすることは多いが...。


｢...しかし驚きました。炎柱がアイツに説教なんて｣


ポロッと思ったことが口に出た。しまったと思い慌てて手で口を塞いだが、時すでに遅し。


｢すみません、失言でした｣


炎柱に謝ると笑って『気にするな』と言われた。


｢どうやら俺は人を叱るのが苦手なようだ。上手く彼女に伝えられなかった...彼女の身を案じているだけなのだが｣



どうしたものか、と炎柱は腕を組み悩み始める。


......そう言えば、村田さんもこの炎柱のようにAの行いについて考えていたなと思い出す。



正直な所、俺は浅草の時以来からアイツが何をしようと構わないと思っている。
男に媚びへつらおうが、体を触らせようが...




｢獪岳隊士、君と彼女は歳も近い。共に助け合っていくようにな！君たちの将来に期待している｣



誰もAをわかってやれる者は居ないのだから。

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