【１話目】安い車にご注意を ページ1
お兄ちゃんが
はしゃいで帰ってきた。
まだ８０�劼靴�走ってないという
乗用車を手に入れたからだ。
「50万円と言われたって安いのに、その半額以下なんだぜ」
車には無線がついていた。
「そんなに安い車で大丈夫なの？」
お母さんは心配そうな顔をしてた。
週末
お兄ちゃんは僕をＥ島まで
ドライブに連れていってくれた。
天気は良いし
乗り心地は最高！
海辺で思いっきり遊んで
Ｅ島を出た時は
もう夕方だった。
僕は疲れていたので
助手席を倒して寝転んでいくことにした。
わーい
らくちん
らくちん。
ゆらゆら揺れるうちに眠ってしまった。
どのくらい経ったのだろうか
気がつくと
身体が抑えられているように重い。
起き上がろうともがいても
どうにもならない。
耳元に冷たい空気が流れた。
「ここは私の席よ。どいて、どいてください」
か細い女の人の声だった。
僕はゾーッとした。
お兄ちゃんには聞こえないようだ。
(知らせなくっちゃ)
焦れば焦るほど
身体が重たくなる。
車は高速を出て商店街に入り
辺りが明るくなった。
「お兄ちゃん、ぼ、僕動けないよ」
ようやく声が出た。
「えっ、なんだって」
お兄ちゃんが
振り向いたのと同時に
足も身体も軽くなった。
あれーぇと思った途端
ドカーン！
車が電柱にぶつかったのだ。
幸いゆっくり走っていたので
2人ともケガをしないで済んだが
ヘッドライトとバンパーが壊れてしまった。
その日のうちに
車をＳ町の修理工場に持っていって
驚いた。
お兄ちゃんの買った車は
この工場で１ヶ月前に修理された事故車だった。
しかも
僕の座っていた助手席で
若い女の人が死んだという。
続く (更新停止中)
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作者名：うららk | 作成日時：2017年4月21日 21時
