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第9話*篝火花 ページ2

藤堂(とうどう)しのぶ先輩。


くノ一でありながらその剣術と忍びとしての才を見出され一年の最初からい組に所属していた。

成績優秀・文武両道・容姿端麗と三拍子揃った完璧なお人。
だけど、どこか抜けていて時々考えてる事がよく分からなくなる、そんなお人だった。


……そして、恋人である立花先輩を、深く深く愛されていた。



.




「あの、手…」

「あ……ごめんなさいっ!えっと…!」


ずっと掴んでいた手を離す。
突然腕を掴まれてなのか、それとも慌てる私を見てなのか、困ったような顔でしのぶ先輩は私を見つめる。


『えっと…さっきぶつかった子、ですよね?
私と何処かで会ったことありましたっけ…?』


しのぶ先輩は私の事を覚えていない。
よく考えれば立花先輩ですら覚えてないのに当たり前だ。

この人は今を、この現代を生きている。
だから、この人の幸せになる道を私が邪魔することはできない。



……でも、



「私っ!!」

「は、はい!」


でも、三郎やま〜ちゃんだって頑張ってくれた。
記憶のなかった頃から私を見ていてくれた人がいたから。



「私、しのぶ先輩の後輩の鶯巣千代峯です!
しのぶ先輩は覚えていないかもしれませんが、これから仲良くしてください!よろしくお願いしますねっ!」


だから、私も大切な人のために頑張りたい。


「……ふふ、変な子」

「へ!?そ、そうですか?」

「他に誰がいるの?その制服、大川学園でしょう?
私、大川学園のOGじゃないのに後輩なんておかしいでしょう?」

「あ……っ!」


ごもっともな正論にぐうの音もでない。
どうしよう。このままだと変な子認定されたまま終わってしまうんじゃ…!?


「……けれど、信じてあげる。」

「え…?」

「貴方、嘘つける性格じゃなさそうだし。
それに、私の名前を知ってるのも気になるし……ね?」

「はい…」


しのぶ先輩の手が私の手に触れる。
その手は昔よりも少しあたたかかった。



「よろしくね、後輩…ちゃん?」

「……っ、よろしくお願いします!」


私の諦めの悪さが、一つ皮を繋いでくれた。

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moufu0727(プロフ) - 面白すぎて一気に読んでしまいました!!晋太郎くんがどタイプでした笑笑 終わりとあるのですがこれで完結なんでしょうか? (2021年5月12日 22時) (レス) id: be7d571388 (このIDを非表示/違反報告)
凛@昆布教(プロフ) - 続編おめでとうございます!続き凄く楽しみです!!更新頑張って下さい! (2020年10月26日 16時) (レス) id: 0b140bf78a (このIDを非表示/違反報告)
来夢(プロフ) - 第3話目突入おめでとうございます!!これからも応援しています!頑張って下さい! (2020年10月26日 1時) (レス) id: cfa50364df (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:無音 | 作成日時:2020年10月26日 0時

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