27話 ページ27
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「ん…ここは…」
屋敷じゃない…ということは、主様の家か?
ここは玄関っぽいな
なんて思い足を動かすとカサッと音がして下を見ればクシャクシャになった紙が落ちていた
「…こ…れ……」
ガタン!!
「ッ!?…主様…?」
中からすごい音が聞こえふらつきながらも音がした方へと歩く
中へ入れば床には倒れてる主様、そして首には…
「A…A!!!お"いA!!!」
揺すってもぐったりとしている、脈を確認しても動いてない、息もしていない
「…何、してんだ…バカ。…言えって、…何かあれば、言えって…言っただろうが…」
…戻れば…助かるかも、しれない…
きっと…ルカス、さん…なら…
" ミ…ィ… "
「ッ…猫…?」
あの紙にはああなりたくなければと書いていた
…人間ってやつは、どこも変わらねえんだな
「…主様、ずっとこいつが心配でちょくちょくここの世界に帰ってたんだな。…こいつも、こっちの世界に来れば…Aはずっと傍にいてくれるのか」
近くに落ちていた指輪を拾って猫を抱き上げ主様の指に指輪をはめた
しかし…何故か何も反応が無かった
「ダメ、か……なぁ、なんでアンタは今まで黙ってたんだ。…まさか…俺らのこと、気にして…黙ってた、わけじゃ…ねぇだろ…だから、…だから、俺が悪魔執事になったきっかけ聞いてきたんだろ」
泣くなんて柄じゃない、そんなことを思いここ暫くずっと泣いていなかった
それなのにこんなに涙が流れるなんて
「…A」
軽く冷たくなった手を握ると指輪がコツンとぶつかる音がした
「頼む…ずっと…傍に、いてくれ……返事はいらないなんて、嘘だ。…俺の傍に…いて欲しい」
そう震える声で呟きながら顔を近付け唇を重ねた
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作者名:しゃか | 作成日時:2022年11月23日 20時