私の子犬2 [入間銃兎]

ヴェンティクワットロ ページ24

「…Aさんは抱え込んでしまうタイプなのかな」


『え…?どうして』


「中々本音は言えないんだろう」


『…はい』


「あんまり我慢しすぎるとストレスがどんどん溜まっていくよ｡…少しくらい吐き出さないと旦那さんも心配をしてしまうよ」


『言おうとは思ってるんですけど…』


「…過去のことかい」


『えっ』


「全部聞いたよ､そんな辛い過去を生きてきたなら人を信用出来ないのもわかる｡…でも君の旦那さんは全てわかってる､だから面倒とか迷惑とか思わないよ｡絶対に」


『…だといいですけど』


「大丈夫だよ｡…じゃあ､始めようか」


『はい｡…お願いします』









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「…」


「銃兎」




左馬刻がそう呼ぶと銃兎は無言で左馬刻を見る





「A､アイツは多分すげぇ色々なことを抱え込んでる｡誰かに言いたくても言えねぇはずだ｡…でも無理に聞き出そうとしたりはすんなよ」


「わかってる｡…Aが言いたいことを我慢してるのはよくわかってる…聞きたくてもアイツは絶対に言わなかった｡…一体何に苦しんでいるのか…今でも昔のことを思い出すのか｡俺はAのことを全然わかってない」


「お前も言いたいこと我慢してるとこあんじゃねーのか」


「…」


「まぁ別に言いたくねぇことは言わなくてもいいけどよ｡少し話した方がアイツも少しは言いたいこと言うかもしれねぇぞ」


「…だといいけどな」


「あ､左馬刻君」


「先生､終わったのか」


「終わったよ」


「Aは…?」


「治療は成功したよ｡もう変なものは見えないと言っていたよ」


「そう…か…もう幻覚は…」


「…会うかい?」


「……お願いします」









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