無表情〈降谷零/安室透〉

よんじゅうろく ページ46

「何食べたい?」


『ハムサンド』


「…夜ご飯の話だ」


『ハムサ』


「それ以外」




歩きながら頬を摘まれる


ハムサンドが食べたい気分なのに
別になんでもいいな




私は降谷の手を掴んで離し"何でもいい"と答える
すると次はデコピンが飛んできた



『……意味わかんない』


「何でもいいも無し」


『あー言えばこー言う』


「…ラーメンにするぞ」


『いいですよ｡麺あるんですか?』


「多分な｡なければ他のを考える」


『はい』





……ん??


今思った


逆じゃないか?


私が作る方で何が食べたいか聞くもんじゃないか普通…





『……降谷､私って料理下手?』


「ハッキリ言ってほしいか?」


『はい』


「下手､塩や醤油は使いすぎるし焼きが甘いから半生｡それから」


『もうお腹いっぱいです…』




両手で顔を覆い首を横に振る



「…前見て歩け､転ぶぞ」


『別に転んでもいいです…もうなんでもいい…』


「悪かった｡…料理が下手でも僕の嫁にさせてやる」


『言い方腹立つ』



ドス､と腹にパンチを入れる



「よわ」


『喧嘩売ってます?』


「買うか?」


『いらない』


「たく､ほらもう少しで着く」


『……ん』



目は合わさずに手を差し出してみる
一度降谷は私の手を見たが無視して前を歩く



『んーー』


「うるさい｡普通に喋れ」


『……クソゴリラ』




ボソッと呟いて手を握る
すると手を握り返してくるがその握る力がめちゃくちゃ強かった



『ねぇ痛い痛いってねぇってば』


「次言ったら1週間家にいれないぞ」


『ごめんなさい』


「よろしい」




力を緩め次は指を絡ませてくる

こういうことをするのは初めてなもので顔が熱くなる




『……恋人みたい』



ボソリと呟く



「恋人だろ?」


『貴方の耳ってどんだけ地獄耳なんですか､蟻の話声とか聞こえます??』


「聞こえると思うか」


『はい』


「…」


『…いや冗談ですから､そんな冷めた目で見ないでください』









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