無表情〈降谷零/安室透〉

さん ページ3

"自さつした"




その言葉が頭の中をグルグルと回る



この降谷零という男性は何を言っているんだ



お父さんが…するわけ…






『な…んで…どうして!!!お父さんは…お父さんはッ…!!!』


「…すまない」




スーツの胸ぐらを掴み涙を流しながらギリッと睨む
すると降谷零は目を逸らして小さく謝る





『お父さんは救おうとしたのに!!どうしてもう一度調べてくれなかったの!!どうして!!!!』


「…遺書だ､これはコピーだが」


『…』



紙を渡され相手から距離をとって読む



" A､ごめんな


お父さん…耐えきれなくなってな


あの子はホントによくやる子だった…なんでもすぐに出来て､優秀な会社員だった



そんな子を救えず…死なせてしまった



私は生きていく権利なんてないんだ
お前のことを愛する権利も…


その子には愛する家族がいた､もちろん娘も



……それなのに､私はこのまま生きていくなんてできない




ごめんな､A____"




まだまだ続きはあったがそれ以上は読めなかった




『ぁ…や､だ…嫌だ…やだよ…帰って…きてよ…お父さん…お父さんッ!!!!』


そのまま手紙を抱きしめ子どものように大声を出し泣く


『私には…お父さんしかいないのに……お父さんを…お父さんを返して!!返してよ!!』




よろよろとしながら立ち上がり金髪の男性の胸あたりを殴る
あまり力が入らないので相手にとっては痛くも痒くもないだろう



『お…父さんを…ｯ､かえ…して…』



そのまま力なく床にパタリと座り込む
するとその男性は再び小さく


"申し訳ない…"



と呟いた









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