プロローグ ページ1
「七つの誕生日おめでとう、アセビ」
優しい声が私を賞賛する。 机の上に溢れる料理は、彼の人が一人で作り上げたものらしい。 「らしい」というのも、私にはその記憶が無いからである。 七つの頃の誕生日。 私は、誰かに祝われたのだろうか。
それにしても、すごい料理だ。
「今日はアセビの誕生日だろう? だから、さ。 お父さんもお母さんも居ないし、たった二人きりの誕生日だけれど。 俺、愛しい君の為に頑張ったんだ」
何回も見た夢なのに、何故か胸がくすぐったくなる。
「だから、どうか。」
しかし、思い出せない。 彼は一体誰なんだったか。
「思い出してよ、俺の事」
◇
カーテンの隙間を縫って差し込んだ光が私を照らす。 眩しさに目を開けると、時計の短針は8を指していた。
私は体を起こし、首を振る。
そうか。 今日は私の誕生日だった。
私は簡素に身支度をし、外へ出る。 誕生日はいつも何処かへ出かける。 それは「一人きり」という状況に目を背けたいからなのか、はたまたただ気分転換がしたいだけなのか。
簡素に食事を済ませ、街をふらふらと歩く。 気付けば短針は10を指し、私ももう退屈していた。
そんな時だった。 巨大な美術展を見つけたのは。
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悪魔(プロフ) - たけのこご飯さん» ありがとうございます! (2016年2月18日 0時) (レス) id: f1c6c4be71 (このIDを非表示/違反報告)
たけのこご飯(プロフ) - 文章の構成とか、ひとつひとつの文がすごくいいと思います!素敵、です!更新、楽しみにしています! (2016年1月18日 20時) (レス) id: fc18aada40 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あくまん x他1人 | 作成日時:2015年10月22日 21時