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114話 ボウタロウ王 ページ15

海賊「やっぱもう一回手を組んで取り戻そう!!」

杉元「ふざけんなッ連れ去ったのは月島軍曹たちか?どこへ行った!?」

海賊のふざけた提案に杉元が速攻却下し、こちらに背を向けあたりを見渡す。

ミツキは彼らが話す合間に、海賊の手当に取り掛かった。
海賊は一瞬ミツキを見て驚いた顔をするが、すぐに話し始めた。

海賊「…門倉が隠し持ってた三枚分と"俺の"と"白石"と、杉元が持ってる"平太"の刺青…それらで解けるか試してみようぜ。
あとは俺がアイヌから仕入れた情報もあるだろ?これなら土方たちは必要ない」

杉元「ついさっきスコップで殴って来た野郎を誰が信じる!!土方の方がマシだ!!」

杉元はそのまま「行くぞシライシ!!峰山!!」と苛立たしげに向こうへ歩いて行く。

海賊「杉元達行っちまうぜ、ついてかなくていいの?ミツキちゃん」

貴『いいですよ、どうせすぐ追いつきます』

海賊「…」

少しの沈黙が流れた後、海賊が再び口を開く。

海賊「……ミツキちゃんはさ、故郷に帰れないんだろ?」

貴『…あんまり喋ると傷が悪化しますよ』

海賊「…一緒に来る?俺の国に」

貴『……』

どんな意図があっての発言なのだろうか。
また家臣にするという話なのか。
この人は全く読めない。そんなところが面白くて好きだ。
裏切ったとしても、何故だか嫌いにはなれない。

貴『それは家臣になれという話ですか?』

海賊「いいや、そんなんじゃねぇ。そうだな…
"王妃"とか…」

貴『…ふふ……生憎、私は王の座にしか興味が無いので駄目ですね』

海賊「!ははは…ッシライシの奴といい、あんたも…面白い奴ばっかりだな」

海賊はミツキの冗談に無邪気に笑ってそう言うと、丁度手当てをなんとか終えたタイミングで立ち上がる。

貴『死なないでくださいよ。せっかく丁寧に手当てしたんですから』

海賊「ふん…死なねえよ」

その後海賊は近くにいた白石と杉元を呼び止め、「中で良いもの見つけた」と建物の中へ入っていった。

貴『…?これは変な形の乗り物ですね…』

白石「おい、ボウタロウ…こんなもんどうやって運転するんだよ?」

海賊「いいから乗れ!飛ばすぞ」



杉元「おい房太郎!!お前なんで運転出来るんだ?」

海賊「一年ちょっと前にエディーっていうアメリカ人と意気投合してな」

貴『エディー…?どこかで聞いたような……』

そんなことを話しながら、海賊達の乗る宣伝販売車はものすごい速さで札幌の町中を走り抜けていく。

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作者名:ちあきんぐ | 作成日時:2024年3月12日 11時

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