別れ 3 ページ7
ｰ陸side
陸「ご、め…。
A、ごめん…っ。」
泣きながら歩いて、声を絞り出す。
この声はAには届かない。
できることなら、今すぐ引き返して嘘だって言いたい。
Aが好きじゃなくなったなんて、元々好きじゃなかったなんて嘘だって、ごめんって言いたい。
Aが泣き止むまで彼女の隣にいて、抱き締めて、何度もキスをして、彼女の涙を拭ってあげたい。
そうできたら、どんなにいいだろう。
嘘だと言えたら、どんなにいいだろう。
俺は何度も涙を拭いながらとぼとぼと夜道を歩いて家に帰った。
陸「…ただいま。」
乃亜「おかえり。」
陸「…乃亜？なんで…。」
乃亜「だって陸が鍵くれたんじゃん。」
陸「…連絡くらいしろよ。」
乃亜「ごめんごめん。」
陸「…Aと別れて来た。」
乃亜「あ、そうなんだぁ。」
…俺は乃亜のどこが好きだったんだろう。
目の前にいる彼女を見ながらぼんやりと考える。
Aみたいに人見知りでも無ければ引っ込み思案でも無く、明るくて強引な乃亜。
乃亜「あ、それでさぁ。
これ、全部捨てたけどいいよね？」
陸「え？」
顔を上げると、廊下にはゴミ袋が置いてあった。
Aからもらった服やアクセサリー、彼女とお揃いで買ったマグカップが透けて見える。
陸「何勝手に…！」
乃亜「だって別れたんでしょ？
いらないじゃん。いるの？なんで？」
陸「…。」
乃亜「捨てていいよね？」
陸「…それは…。」
乃亜「…Aちゃんがどうなってもいいの？」
ぞっとするほど低い声で言われて、俺は弾かれたように顔を上げた。
陸「Aには手ぇ出さない約束だろ！」
乃亜「そうだよ、陸が乃亜のお願い聞いてくれるならね。
ね、捨てていいよね？ていうか、捨てて？」
陸「…分かった…。」
結局、俺にはそう言うしかなくて。
乃亜「やった！
で、今日から陸は乃亜の彼氏ね。いい？」
陸「…いいよ。」
もう、なんでもいいや。
全部、どうでもいい。
俺は溜息を吐いて頷いた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 569人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「THERAMPAGE」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
直実(プロフ) - 美紀さん» ありがとうございます。美紀さんも気をつけてくださいね。 (2020年8月31日 19時) (
レス) id: ee63cfc73e (このIDを非表示/違反報告)
直実(プロフ) - すいさん» コメントありがとうございます！気付かなくてすみませんm(__)m千春さんと悠花さんは強い女性として書こうと思ってたんです笑強い女性大好きなんです笑 (2020年8月31日 19時) (レス) id: ee63cfc73e (このIDを非表示/違反報告)
美紀 - 移行おめでとです最高ですコロナウイルスと熱中症に気をつけてくださいね (2020年8月31日 13時) (レス) id: 8204dae0fb (このIDを非表示/違反報告)
すい(プロフ) - 泣き足りない！泣き足りないです！しかも千春さんかっこいい！夢主ちゃんもきっと千春さんみたいな素晴らしい女性になるんでしょうね！あぁーやっぱりもっかいもっかい読んで泣いてきます(嬉涙) (2020年7月31日 16時) (レス) id: 3a0286c876 (このIDを非表示/違反報告)
直実(プロフ) - すいさん» お待たせしました！何回でも泣いてきてください！((殴 (2020年7月29日 19時) (レス) id: 993595d907 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：直実
| 作者ホームページ：https://mobile.twitter.com/naomi_shogkazu
作成日時：2020年6月1日 19時
