決断 6 ページ34
ｰ陸side
会計を済ませてカフェを出る。
そこでアレクくんは大きな溜息を吐いた。
アレク「…これ、気に入ってたのに…。」
陸「ほんっとごめん！
まさか乃亜があんなことするなんて思わなくて！
今から服買いに行こう、俺が出すから！」
アレク「…あー、じゃあ遠慮無く。
つーかこの髪外していいすか。」
陸「あ、うん。」
アレクくんが髪を留めていたピンを外す。
長い髪がその肩に広がった。
陸「行こう。」
彼は頷いて、俺の隣を歩き出した。
歩きながらメイクを落とすアレクくんに話し掛ける。
陸「…Aはどこにいるの？」
アレク「あー…、その話、帰ってからにしません？」
陸「分かった。」
並んで歩くも、会話はほぼ無い。
そのまま俺たちは服を買って、Aの家に戻った。
リビングに入り、椅子に座るとアレクくんが口を開いた。
アレク「…陸さんは。」
陸「うん？」
アレク「姉ちゃんのどこがよかったんすか。」
陸「…Aってさ、努力家じゃん。」
アレク「…。」
陸「それで、溜め込む癖もあるじゃん。」
アレク「…まぁ、そうっすね。」
思い出すのは武者修行のとき。
人一倍努力していたのに、それを表には出さなかった彼女。
陸「…頼って欲しい、って思ったんだよね。」
最初は純粋にただそれだけだった。
それが、彼女の頑張っている姿を見るうちにその思いは恋に変わっていった。
たまに彼女が笑顔を見せてくれる度に、その笑顔をもっと見たいと思うようになって。
同時に、俺以外の人に見せたくないという気持ちも募って行った。
Aが俺に話しかけてくれる度に胸がときめいて、まるで初恋のときみたいにどきどきして。
彼女と目も合わせられないくらい緊張して、これじゃどっちが人見知りだよ、なんて思って。
Aがいたから、頑張れた。
Aの頑張っている姿を見ると、勇気がもらえた。
陸「…Aがいなくなってから思うように歌えなくなってさ。」
アレク「…！」
アレクくんが驚いたように俺を見る。
陸「Aの存在が、どれだけ大きくなってたかなんて気付きもしなかった。
一緒にいるのが当たり前で、こんなことになるなんて思ってもなかった。
許してもらえなくてもいい。
だけど…、だけど、Aに謝りたい。
俺が弱かったせいで、Aのこと傷付けた。」
目を閉じると、いつも浮かんでくるのはAの笑顔。
こんなにも目に焼き付いているのに。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 569人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「THERAMPAGE」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
直実(プロフ) - 美紀さん» ありがとうございます。美紀さんも気をつけてくださいね。 (2020年8月31日 19時) (
レス) id: ee63cfc73e (このIDを非表示/違反報告)
直実(プロフ) - すいさん» コメントありがとうございます！気付かなくてすみませんm(__)m千春さんと悠花さんは強い女性として書こうと思ってたんです笑強い女性大好きなんです笑 (2020年8月31日 19時) (レス) id: ee63cfc73e (このIDを非表示/違反報告)
美紀 - 移行おめでとです最高ですコロナウイルスと熱中症に気をつけてくださいね (2020年8月31日 13時) (レス) id: 8204dae0fb (このIDを非表示/違反報告)
すい(プロフ) - 泣き足りない！泣き足りないです！しかも千春さんかっこいい！夢主ちゃんもきっと千春さんみたいな素晴らしい女性になるんでしょうね！あぁーやっぱりもっかいもっかい読んで泣いてきます(嬉涙) (2020年7月31日 16時) (レス) id: 3a0286c876 (このIDを非表示/違反報告)
直実(プロフ) - すいさん» お待たせしました！何回でも泣いてきてください！((殴 (2020年7月29日 19時) (レス) id: 993595d907 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：直実
| 作者ホームページ：https://mobile.twitter.com/naomi_shogkazu
作成日時：2020年6月1日 19時
