ゴールデンレトリバーとロシアンブルー④ (ページ48)

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ドラマ 3 ページ48

ｰAside

今回のドラマは、白川紺子さんの書いた後宮の烏という小説が原作だ。

後宮で行きながら帝のお渡りがなく、また、けして帝にひざまずくことの無い特別な妃･烏妃(うひ)。

私の役は当代の烏妃である寿雪(じゅせつ)役。

夏喜さんは皇帝、高峻(こうしゅん)役。

寿雪はある理由からその銀髪を隠して生きている。

夏喜「Aさん、原作読んだことあります？」

A「大好きなんです、この本。」

夏喜「あ、そうなんですね。
俺も読んでみようかな。」

A「はい。
あ、よかったら今度貸しましょうか？」

夏喜「マジすか？
ありがとうございます。」

A「じゃあ今度持って来ますね。」

夏喜「ていうか、Aさんがいてくれてよかったです。」

A「え？」

夏喜「顔見知りがいるだけで、ちょっとほっとします。」

A「あ、でもそれ私も思いました。」

夏喜「…ていうか、それどうにかなりません？」

A「…“それ”？」

夏喜「敬語。
Aさんの方が先輩ですよね？」

A「いやでも生まれた年同じじゃないですか…。」

夏喜「いやそれでも一応は先輩じゃないすか。」

A「“一応”？」

夏喜「あ、すみません。」

A「…じゃあ夏喜さんも敬語やめてください。」

夏喜「は？俺の話聞いてました？」

A「聞いててその提案です。」

夏喜「え、俺が敬語やめたらAさんもやめてくれます？」

A「まあ、はい。」

夏喜「…分かり…、分かった。」

A「じゃあ、それで。」

夏喜さんが小さく笑う。

不安だった初めてのドラマ撮影は、なんとかなりそうな予感がした。