ゴールデンレトリバーとロシアンブルー④ (ページ36)

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八つ当たり 2 ページ36

ｰAside

溜息を吐きながら玄関の鍵を開けるとセイが走って来た。

A「…ただいま、セイ。」

くぅん、と小さく鳴いたセイが私に身体を擦り付ける。

その身体を撫でながら、また溜息を吐く。

A「…最低だ、私。」

陸さんは心配してくれたのに。

何度目かも分からない溜息を吐いたとき、インターホンが鳴った。

A「…？」

画面を見ると、そこには陸さんが立っていた。

A「え…。」

何度かインターホンが鳴る。

どうしようか迷っていると、外から鍵が開けられた。

ドアが開いて陸さんが顔を出す。

陸「あ、よかった。生きてた。」

A「え？」

陸「何回鳴らしても出ないからさぁ。」

A「…帰ってください。」

陸「なんで？」

A「あかんの、今のままやったらまた陸さんに酷いこと言う…っ！」

陸「いいよ。」

次の瞬間、腕を引かれて私は陸さんの腕の中にいた。

陸「言っていいよ。
全部俺にぶつけていいよ。
俺が全部受け止めてあげる。」

A「陸さん…。」

陸「よしよし。」

陸さんの温かい大きな手が私の頭を撫でる。

私は彼の胸に顔をうずめた。

陸「Aは頑張ってるよ。
それは俺がよく知ってる。
だからね、アンチなんて気にしないで。
Aの頑張りをちゃんと見てくれてる人は絶対いるよ。
俺もそうだし、RAMPAGEメンバーもそうだし、HIROさんも。
ちゃんと見てるから。」

A「…。」

陸「ていうかさ、Aはもっと俺のこと頼ってよ。
俺はAの彼氏でしょ？
1人で頑張るんじゃなくて、ちゃんと頼って。
いい？」

A「…はい。」

陸「よし。」

陸さんは優しい。

八つ当たりしたのに、笑顔で受け止めてくれる。

…本当に陸さんには敵わない。

A「…八つ当たりしてごめんなさい。」

陸「ううん、全然。」

私は背伸びをして陸さんと唇を重ねた。

目を丸くする陸さんから目を逸らして言う。

A「…ごめんなさいのちゅー、です。」

陸さんが片手で顔を覆う。

A「…？」

陸「A、ちょっと。」

A「はい？」

首を傾げて彼に近付くと、腕を取られて深く口付けられた。

A「！」

唇が離れてから、強く抱き締められる。

陸「…他の男にこんなことしちゃダメだよ。」

A「する予定は無いから大丈夫です。」

陸「…ならいいけど。」

陸さんはそう言ってもう一度強く私を抱き締めた。