�将将� ページ30
「いや...大丈夫ですよ。」
「痛かっただろ、少しだけ血が出てるし。」
そう言うと浦田さんは胸あたりからハンカチを取り出し、私の手にあてがった。
どうして謝って来たんだろう...。
浦田さんは何も悪くないのに。
「本当にすまん、やまだにもちゃんと謝らせる。」
「やまだ...？」
そういえばさっきもやまだって叫んでいた気がするな。
さっきの狸ちゃんは浦田さんのペット...いや、使い魔なのかな？
なんて呑気な事を思っていたら、浦田さんのエメラルド色の目が鋭く光だした。
「やまだ...来い。」
静かに言い放っただけのはずのその言葉は脳内にまで強く響いた。
私達の周りの空気も冷たく張り付いた気がする。
「キュ...キュー！」
狸さんの鳴き声が聞こえ振り返えると、ゆっくりとこちらに近づいてきていた。
しかし、その足取りはなんだか重そうで、そして怖そうな顔をしていた。そのぎこちなさはなんだか操られているようで...。
もしかして......コレが浦田さんの魔法？
「やまだ、Aに謝れ。」
浦田さんにそう言われた狸さんはしょんぼりとした顔でゆっくりしっぽを下げ、「キュウ」とひと鳴きした。
「大丈夫だよ。こっちこそ急に抱いちゃってごめんね...？」
「......。」
じっとこちらを見つめるだけで、それ以上は何もしなかった。後ろからパチッと指の音がすれば、魔法が解けたのかまた奥の部屋に逃げてしまった。
「やっぱりうらさんやったんか、2階にまで気配凄かったで。」
「久しぶりに感じたわぁそれ。で、今回は何があったん？」
「.....やまだがAに怪我させた。」
「うわ...それはそのクソが悪いわ...。もー可哀想にA怖がってるやん！」
3人がその状況を楽しそうに話しながら階段を降りてくる。志麻さんに至っては一足先に降りて後ろから頭をポンポンッとしてくれた。
「お、やさしま。」
「流石俺らのおにに。」
「誰がおににやねん。」
良かった......。
もう普通の浦田さんに戻ってる...。
浦田さんのあの目を見た時、何故だか分からないけれど従わなければいけないという焦燥感に駆られた。まだ何も発していない時にだ。
坂田さんの魔法も凄かったけれど、やっぱり浦田さんは並外れて違う。これは...自分で強いと言ってもいいレベルだ...。
「.....絶対怒らせないようにしよ...。」
私はそう強く決意した。
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FAMIRA - 更新止まってるので戻ってきてください！！とても面白かったです！ (2022年10月8日 9時) (
レス) @page24 id: 58cb53495b (このIDを非表示/違反報告)
ちょこ - 更新が止まってます！戻ってきてください！続き楽しみに待ってます！(´;ω;｀) (2021年10月27日 15時) (レス) @page21 id: 5ad0b4ef6a (このIDを非表示/違反報告)
無花果(プロフ) - さなやまさん» さなやま様応援ありがとうございます！！！亀さん更新ですが精一杯頑張ります(((((泣 (2020年6月11日 22時) (レス) id: e953562a4f (このIDを非表示/違反報告)
さなやま - 面白い作品に出会ってしまった…！更新頑張ってください！ (2020年4月19日 16時) (レス) id: 6a49bba79c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：無花果 | 作者ホームページ：http://gokutozihen
作成日時：2020年1月4日 16時
