�将� ページ15
「...寝たか？」
「ああ、ぐっすりや」
「慣れない世界にいきなり連れてこられて疲れたんやろうな...」
あれから暫く、俺達はこの子の身の回りの事について話し合っていた。
こいつの普段の世話、食事やお風呂、寝る時の世話など
人間がこの世界に迷い込んでくる事はよくある事だが、市街から少し離れたこの館まで来ることは俺がここに来てからは全くなかった
また人間と関わることになるなんて...思ってもみなかったな...
「志麻君、どうしたん？」
急に黙り込んだ俺に気がついたのか、センラ君が顔色を伺ってきた
「ああ、大丈夫や。ちょっと考え事」
「ほんま...？ならええけど...」
「...まあ、今日決めるのはこれくらいでいいだろ。当の本人が寝ちゃったからな。こいつが起きたらまた決めようぜ」
浦田さんがペンを消すと坂田が体をぐーっと伸ばした
「俺先に風呂はいっていい？」
「別にいいけど、上がったら教えろ。俺も入る」
「えっ！うらさん珍しくない！？」
「一応だよ...、今日は弱かったとはいえあいつの手下と戦ったからな」
「確かに...じゃあ僕も入っておこうかな。志麻君はどうする？」
「俺も入るわ、でもその前にこの子ベットに運んでくる。センラ君の隣の部屋やろ？」
「そうや、よろしくな」
脚の中ですっかり寝落ちしてしまっているこの子を起こさないように抱き起こし、談話室を後にした
センラ君の部屋は確か東側だったよな
階段を上っていけば、腕の中でうぅっと小さくこの子が呟く。起きたかと思えば、また直ぐに寝息が聞こえた
少しだけ安心して胸を撫で下ろす
そのまま、部屋まで行き、ベッドに静かに置けば、寝返りを1つうった
可愛いなこいつ
「じゃあな、いい夢見ろよ」
小さい頭を撫でて掛け布団を掛け部屋を出た。そのままその場にしゃがみこんでしまった
俺が自分以外のやつに対してこんな感情を表すなんていつ以来だろうか
もう数える事も出来ないくらい前だっだと思う。浦田さんに数えて何になると呟かれた時から...俺はカウントする事を断念した
呆気なく辞めてしまったけど、きっと自分の中でももう数えても無意味だと分かっていたのだろう
「まぁ...今頃そんな事考えても何も無いけどな」
小さく呟けば廊下の窓がカタカタと揺れだした
それはまるで、今の俺を笑っているようだった
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 386人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
FAMIRA - 更新止まってるので戻ってきてください！！とても面白かったです！ (2022年10月8日 9時) (
レス) @page24 id: 58cb53495b (このIDを非表示/違反報告)
ちょこ - 更新が止まってます！戻ってきてください！続き楽しみに待ってます！(´;ω;｀) (2021年10月27日 15時) (レス) @page21 id: 5ad0b4ef6a (このIDを非表示/違反報告)
無花果(プロフ) - さなやまさん» さなやま様応援ありがとうございます！！！亀さん更新ですが精一杯頑張ります(((((泣 (2020年6月11日 22時) (レス) id: e953562a4f (このIDを非表示/違反報告)
さなやま - 面白い作品に出会ってしまった…！更新頑張ってください！ (2020年4月19日 16時) (レス) id: 6a49bba79c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：無花果 | 作者ホームページ：http://gokutozihen
作成日時：2020年1月4日 16時
