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「……違う…」
傑が死んだということを五条さんから伝えられたこと
「違う……」
クリスマスの日に真夜中から大喧嘩して
そこでようやく五条さんと向き合えたこと
そこから再び婚約し直したこと
___だから、傑はとっくの昔に……
「違う…!!」
何も違わない、傑はもうこの世になんて___
勝手に溢れてくる涙と思い出した記憶に戸惑いと絶望を抱え
あの時も私は耐えきれず、私はこの加茂家から飛び降りた
傑を亡くして間もなく、今度は悟さんを失い
死んだと聞かされたはずの傑が帰ってきて
でもそれは偽物で、私を無理やり手篭めにして私は妊娠した
それで私は加茂家の妻として生きることにも
身の回りに起きることにも耐えられなくなって
加茂家の二階から飛び降りた
全部忘れたかった、生きなくてもいいとすら思えた
でももし生きないといけないのなら
一生この思い出を忘れて生きていたいと祈った
それに羂索の手に私と私の人生を渡したくなかった
だから私は自分を縛ることにした
神力使いの花嫁道具の中には
神力を再び使用することが出来る禁断の箱が混ざる
本来、一生涯使わなくても良いはずのものだった
___五条家に嫁げば尚のこと
でも私は加茂家の夫人として生きるつもりなんて
五条悟の妻では無い人生を生きるつもりなんて
さらさらなかった
もし悟さんが封印を解かれたらきっとまた会える
そうは思ってもその日がいつかなんて分からない
もう耐えられなかった、この世界に
だから私は霊符が貼られ頑丈に封じられた箱をあけた
そこには蛇の皮の破片が大切そうに置かれているだけ
この家系にいる
凄惨な死を迎えた祖先達の思いが籠った蛇の皮を
私は恐る恐る口に入れて、一気に水で流し込んだ
「ひふみ よいむなや
こと▲ちろ●ね
しきる ゆゐつわぬ
そをたはくめか
うおえ にさ●へて
のま▲あせゑほれけ」
その祝詞の本当の使い方は違う
でもこれが禁術のやり方
途端、禍々しい声が私の脳裏に響き何人もの女性が姿を現した
【呼ビ起コシタ理由ハ何ゾ】
「お願いがございます」
【申シテミヨ。
タダシソナタモ死後妾ラト 永遠ニ 闇夜ニ 繋ガレル事ニナル】
「…覚悟の上です。構いません」
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