I miss you ページ27
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Aが死んだ日の夜、僕は五条家に帰った
「お帰りなさいませ」
僕を出迎える使用人達の顔は
なんとなく沈んでるように見えた
「A、死んだから」
「はい…その……報せがこちらにも届いております」
「そっか」
「それから…常磐も見つけて参りました」
「ありがと」
Aの遺体は硝子にバラされた後
引き渡されることになった
「ご飯は要らないから持ってこなくていいよ。
明日も要らない」
Aが死んだからと何かをしないわけには行かない
僕は宿儺との戦いの準備を始めた
「この廊下、Aが前に破壊したよね」
「…そうでしたね」
「そういえば昔、
勝手場でAが紅茶煎れてくれたんだよ」
「そうでしたか……」
化野は言葉が見つからないのか
そんな返事しかしてくれない
1番奥の部屋を開けると
そこには僕が仕立てた白無垢が飾られてあった
本当はAが着るはずだった白無垢
わざわざ京都の呉服屋にあれこれ指示して作らせた
世界にまたとない代物
生きていたら、あと四日後にはこの白無垢に袖を通して
僕たちは晴れて夫婦になれていた
「去年といい今年といい、また出来なかったね」
僕の何気ない一言が化野には堪えたらしい
今まで1度として涙を流さなかった化野が初めて泣いた
「お労しや坊ちゃん…」
「別に僕は傷ついては無いよ」
最後にAの本音も聞けたし
「あの時私がA様をよく見張っておけばと思うのです」
「いや、どう転んでもあいつは無理だよ。
当主の僕の言うことさえ聞かないんだから」
「……いっそ恨んでください」
「恨む理由もないでしょ。全部Aがしたことだし」
あいつが全部決めたことを恨めって言われても
正直僕にはできなかった
まるであいつを否定してるかのようで
「それより常磐は？」
「…部屋に寝せてあります」
言われるままに向かうと白布をかけられて
彼女は静かに眠っていた
「私より先に常磐が逝くなど想像もしていませんでした」
「色んな人がいなくなっちゃったねぇ」
静かにあがり続ける線香の煙を眺めながら僕は吐露する
「人の最期って不思議だよね」
いつどこでどうなるかなんて予測はつかないけど
一生って呆気ないんだなと思うことが増えた
「寝ずの番は誰がするの？」
「家臣が1時間おきに交代で行います」
「そうなんだ」
「坊ちゃんは休まれてください」
そうは言われても常磐は僕にとっても大切な家臣だった
「今日は沢山のことがあったでしょう」
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