〃 ページ21
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「したかったの?」
したかったのかな
…ううん、したかったんだと思う
「私……この夢で…学…んだ…ことが…あって……
思っ…た…時に…口にしない…と…後悔す…る…」
「そっか」
「うん……貴方を…助け…られ…な…くて…
五…条さ……んも傷……つ…けて」
「そんなこと無かったよ。2人とも幸せだったよ」
傑、こんな口調だったっけ……
「あ…の人は……こ…の結…婚を…地獄……って…
そう……言って……たけど……
私は…楽しかった……」
「うん、楽しかったね」
あれ?五条さんの声がした…?
そんなまさかね、
私が五条さんに言いたかったことがあるから
幻聴が聞こえたんだわ
「…でも…五…条さ…んに……愛……して…た……の…に……
1……度も…愛し……てるって……言……えなかっ…た…」
「僕も愛してるよ。ごめんね、ずっと言えなくて」
その声…
「五…条…さん……?」
「僕だよ」
そっか、また夢見てるんだ
「悟さん……ごめんね……」
「ううん」
「私…貴…方の……奥さ…んで…本当に…良かった…」
「……うん」
「羂索と…宿儺に…必ず勝って……」
「うん」
私を抱きしめる五条さんの腕に力が入ったのが分かる
まるで夢じゃないみたいにしっかり感じ取れた
「地獄に巻き込んでごめん」
「何…言って…るの……今…更だわ……」
貴方と生きていくと決めたのは私だし
そこに何の後悔もないのよ
だから謝らないで
そう言いたいのに上手く声が出なくて
……あぁ、もう声を出そうとするのもキツイなぁ……
「もういいよA。話すのきついでしょ」
五条さんはそう言って私の頭の撫でてくれた
優しくて温かくて、この手が大好きだった
「頑張ったねA。
お前は本当に長い間頑張ってくれたよ」
ありがとう
「ゲホッゲホッ」
「呼吸出来なくて辛いね、横の方が楽かな?」
抱きしめてくれてたのに
私が咳をしたせいで体制を変えてくれたみたい
でもちょっと楽かも
「A!!」
誰かが私を揺さぶってる気がする…
ごめんね……声出したいのに…声が出なくて…
でもね、聞こえてるよ
私、ちゃんと幸せな人生だった
それだけは本当に言えるんだよ
あぁだめだ、私もう……
「さとるさん」
これだけは絶対に言わなきゃ
「ん?」
貴方と居られて本当に良かった
私、この人生を後悔なんてしてない
心の底から貴方を
「……あいし………」
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